著者
佐藤 明恵 中嶋 洋子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.25-33, 2013 (Released:2013-02-22)
参考文献数
36

Znの不足がラード食(LD)と魚油食(FD)の嗜好性に及ぼす影響を調べた。4週齢のオスFischer344系ラットを1群16匹ずつの4群に分け,それぞれ-ZnLD,-ZnFD,+ZnLD,+ZnFDの飼料で3週間飼育後,各群6匹ずつを解剖した。残りの-Zn群のラットには-ZnLDと-ZnFDを,+Zn群のラットには+ZnLDと+ZnFDの飼料を同時に与えて3週間選択摂取させた後解剖した。-Zn群は+Zn群に比べて血漿Zn濃度,飼料摂取量,体重は有意に低く,血漿・肝臓脂質濃度も-Zn群が有意に低かった。+Zn群のラットは両群ともn-6/n-3がほぼ3となるようにLDとFDを選択摂取したが,-Zn群のn-6/n-3はLD群で1.9,FD群で6.6となった。したがって,+Zn群は一定のn-6/n-3で必須脂肪酸を摂取する能力を有しているが,Znが不足するとこの能力が消失すると推察された。