著者
佐藤雅之 岡本哲也
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1978, no.17, pp.1-10, 1978-09-08

法令検索(法律情報検索)には、法令用語検索、該当条文検索、関係条文検索、改〓経過検索、判例検索などがある。現在欧米で発表されているいくつかの実用システムは、基本的には文献検索の技法を準用している段階にある。本研究は、改〓経過の検索に関連して、既存の法律(被改正令)が、その一部の改正を目的とする法令(一部改正令)に、基ずき改正される場合について、改正の内容を規定する文(改正の柱書)が慣習的に定まった書式と用語で書かれているため高度の構文分析・意味分析を必要としない点に着目し、実用化を目標に、法令の改正と改正経過(改正の種類、年月日、法律番号)の蓄積を行なうシステムを作成することを目的としている。システムは、被改正令の構造決定、一部改正令の解釈、新しい法令の生成と改〓経過の蓄積、新法令と改〓経過の出力の4つのプログラムからなる。今回は、標本として『大気汚染防止法』(昭和四十三年法律九十七号、約12800字)と『大気汚染防止法の一部を改正する法律』(昭和四十五年法律第百三十四号、約13400字)を選んで実験し(東大計算機センターHITAC 8800 8700使用)、所期の結果を得た。以下、法令の定義、システムの概要、実験結果について報告する。
著者
西村 秦 佐藤 雅之 江川 隆輔 小林 広明
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-216, no.38, pp.1-8, 2015-07-28

マルチコアプロセッサでは,ラストレベルキャッシュ (LLC) を複数のコアで共有している.このため,LLC 上には複数のスレッドで共有しているデータ (共有データ) が存在する.複数のスレッドからアクセスされる共有データは,単一のスレッドからしかアクセスされないデータ (私有データ) に比べ再利用性が高い.しかし,共有データと私有データの区別を行わないデータ管理では,私有データによる過剰なキャッシュ占有のため,共有データを十分に保存できずヒット率の低下を招く.そこで,本研究では,並列プログラムの実効性能向上を目的とし,複数のスレッドに共有されるデータとそれ以外のデータを LLC 上で個別に管理するキャッシュ機構を提案する.提案手法は,LLC 上のデータを共有データと私有データに分けて管理することで,再利用性の高い共有データを優先的に LLC に保持する.これにより,共有データのヒット率が向上し,並列プログラムの実効性能向上が期待できる.シミュレーションによる評価結果から,提案手法は,LRU 置換ポリシに基づくキャッシュ機構と比較して最大 1.70 倍,平均 1.13 倍の性能向上を可能にすることが明らかとなった.