著者
越村 俊一 江川 新一 久保 達彦 近藤 久禎 マス エリック 小林 広明 金谷 泰宏 太田 雄策 市川 学 柴崎 亮介 佐々木 宏之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2021-07-05

リアルタイムシミュレーション,センシングの融合による広域被害把握,被災地内外の人の移動と社会動態把握,医療需要および被災地の医療活動状況を入力としたマルチエージェントシミュレーションで構成する仮想世界でのwhat-ifの分析を通じて,物理世界となる被災地での災害医療チームの活動を支援するための「災害医療デジタルツイン」を構築する.災害医療の最前線で活動する研究者との協働を通じて,南海トラフ連続地震により連続して来襲する津波のリスク下において,医療システムの一部の機能が一定期間低下しても,被災地内外の災害医療の機能を速やかに回復できる医療レジリエンスの再構築を先導する.
著者
荒井 勇亮 佐藤 功人 滝沢 寛之 小林 広明
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2010-HPC-124, no.11, pp.1-7, 2010-02-15

近年,従来の CUDA に加えて,GPGPU プログラミングのための新たな標準プログラミング環境として OpenCL が利用可能となった.本論文では,CUDA と OpenCL のプログラムの実行性能差を定量的に評価する.まず,ほぼ同等の処理を行う CUDA と OpenCL のプログラムを実装し,性能を比較する.次に,その性能差の主要因を調査し,CUDA コンパイラではサポートされているいくつかのコンパイラ最適化手法が,現在の OpenCL コンパイラではサポートされていないことを明らかにする.最後に,OpenCL コンパイラで生成されるコードを手動で最適化することによって CUDA と同等の性能を達成できた結果から,今後の OpenCL コンパイラの最適化機能が強化されることにより,CUDA コードを OpenCL に単純変換するだけでも,CUDA と同等の性能を達成できる可能性が示された.
著者
滝沢 寛之 小久保 達信 片海健亮 小林 広明
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.46, no.SIG12(ACS11), pp.37-45, 2005-08-15

HPC Challenge(以下HPCC とする)ベンチマークは,高性能計算(High-Performance Computing,以下HPC)システムの総合的な性能評価のために提唱されているベンチマーク集である.現在までに広く用いられている浮動小数点演算性能に加えて,メモリアクセスやネットワーク通信の性能等,複数の観点から多角的にHPC システムを評価することにより,HPCC ベンチマークは実用的な科学技術計算に対する実効性能を適切に評価する指標として期待されている.本論文では,東北大学情報シナジーセンターで運用しているNEC SX-7 システムの性能をHPCC ベンチマークを用いて評価した結果について述べる.28 の評価項目のうち16 項目において著しく高い評価が得られた結果に基づいて,HPC 分野におけるベクトル型アーキテクチャの優位性について議論する.
著者
西村 秦 佐藤 雅之 江川 隆輔 小林 広明
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-216, no.38, pp.1-8, 2015-07-28

マルチコアプロセッサでは,ラストレベルキャッシュ (LLC) を複数のコアで共有している.このため,LLC 上には複数のスレッドで共有しているデータ (共有データ) が存在する.複数のスレッドからアクセスされる共有データは,単一のスレッドからしかアクセスされないデータ (私有データ) に比べ再利用性が高い.しかし,共有データと私有データの区別を行わないデータ管理では,私有データによる過剰なキャッシュ占有のため,共有データを十分に保存できずヒット率の低下を招く.そこで,本研究では,並列プログラムの実効性能向上を目的とし,複数のスレッドに共有されるデータとそれ以外のデータを LLC 上で個別に管理するキャッシュ機構を提案する.提案手法は,LLC 上のデータを共有データと私有データに分けて管理することで,再利用性の高い共有データを優先的に LLC に保持する.これにより,共有データのヒット率が向上し,並列プログラムの実効性能向上が期待できる.シミュレーションによる評価結果から,提案手法は,LRU 置換ポリシに基づくキャッシュ機構と比較して最大 1.70 倍,平均 1.13 倍の性能向上を可能にすることが明らかとなった.
著者
中村 維男 杉本 理 小林 広明 萩原 将文 後藤 英介 深瀬 政秋 長谷川 勝夫 FLYNN Michae MICHAEL Flyn
出版者
東北大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

本研究では、脳構造化スーパーコンピュータの解析と統合およびその性能評価を目的として、スタンフォード大学と東北大学が共同研究を行うことを計画した。このために、研究代表者と研究分担者は合計10回の研究連絡会議を開いた。その内訳はスタンフォード大学で8回、東北大学で2回である。これらの会議では、日米の研究協力者も適宜討論に参加した。その他、計算機アーキテクチャの分野で指導的立場にある研究者を招いての会議も開催した。さらに、日常的には電子メールによる研究連絡を頻繁に行った。その結果、研究計画の項目毎に以下に示す実績を得ることができた。本年度はこの他にも、機械設計支援システム、並列アルゴリズム、マルチメディアに関する論文、計算機アーキテクチャを指向した計算機ハードウェアに関する著書1冊の実績を得ている。1.脳構造化スーパーコンピュータの統合:研究計画の全項目を脳構造化スーパーコンピュータとして統合した。マインドコンピュータ、表現認識連想記憶メモリ、脳波学、人口蝸牛殻、過疎分散メモリ、波状パイプライン、ジェットパイプライン、論理型アーキテクチャ、記号処理アーキテクチャ、機能型アーキテクチャ、コンピュータグラフィックスの役割を考慮に入れ、脳構造化スーパーコンピュータにおける位置付けを明確に図示した。2.過疎分散方式メモリの構築:脳構造化スーパーコンピュータにおいて過疎分散方式メモリと対をなす波状パイプラインシステムに関して、CMOS VLSIベクトルユニットによる実装設計を行った。さらに、脳構造化スーパーコンピュータにおける処理とデータ伝送に不可欠のベクトルマシン、スーパースカラプロセッサ、マルチプロセッサなどの超高速プロセッサとコンピュータネットワークについての問題点と指針を明らかにした。3.RIGHTコンピュータの解析:スーパーコンピュータで脳機能を実現するための方法論に関するこれまでの研究をさらに発展させ、階層構造を有する分散型連想記憶メモリシステムを用いた脳構造化スーパーコンピュータの概念的モデルを明確にした。特に、このモデルに関してのRIGHTコンピュータの解析を行った。さらに、概念的モデルと具体的モデルの融合を試みた。これらの研究成果は近く公表の予定である。4.超並列記号処理システムの構築:超並列記号処理システムをVLSIで構築することを目的として、この研究の基礎となる学問の体系化を行い、1冊の図書にもとめた。さらに、VLSIの設計に関する独自の方法について研究を行った。得られた成果をもとに現在論文を作成中である。5.脳の処理モデルの研究:医学的な見地から遺伝子と脳の相互作用を検討し、脳の処理モデルの独創的な研究を展開している。これらの研究成果は近い将来公表の予定である。6.RIGHTコンピュータの性能評価:RIGHTコンピュータの構成要素であるニューラルネットワークとファジィ推論システムの融合、分散表現を用いた知的情報処理、および連想記憶メモリの性能評価に関して4編の論文を公表した。7.LEFTコンピュータとRIGHTコンピュータの性能評価:LEFTコンピュータとRIGHTコンピュータは、脳構造化スーパーコンピュータの処理部と入出力部に対応する。本研究計画項目では、特にデータ処理と出力を担当するコンピュータグラフィックスシステムの光線追跡法と多重路表現法について、詳細な性能評価を行った。8.RIGHTコンピュータのためのニューラルネットワークの研究:RIGHTコンピュータのためのニューラルネットワークに最近話題のウェーブレット変換を導入し、音声データ処理についての研究を展開した。