著者
佐野 拓真 金子 雄一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.22-00192, 2023 (Released:2023-08-20)
参考文献数
6

本研究では,2019年9月及び10月の台風襲来時に東京圏で実施された2回の鉄道の計画運休を対象に,モバイル空間統計を用いて運転再開時の駅を含む500mメッシュ内の滞在人口の推移を把握した.その結果,9月の計画運休では多数のメッシュで9時台から12時台にかけて滞在人口が増加したこと,10月の計画運休では各時間帯で滞在人口に大きな変化はなかったことがわかった.以上の滞在人口の動向と各路線における運転再開時刻の明示の有無及び実際の運転再開時刻を照合した結果,9月の計画運休は平日で通勤需要が多く,再開時刻明示の有無以上に運転再開の遅れが人口増加に影響した可能性が示唆された.一方,10月の計画運休は各路線で再開時刻を幅で示すなどの対応が取られたが,休日で私事需要が抑制された可能性が高く,情報提供の検証は今後の課題である.