著者
何 芳
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.129-146, 2018 (Released:2018-09-30)
参考文献数
15

本稿は、厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」の個票データを用いて、女性の稼得能力と結婚選択との関係について分析を行った。分析では、学歴などの同じ属性のグループ内の賃金格差が存在することに配慮し、パネル固定効果モデルで推定した対数賃金率を稼得能力の代理変数として用いた。さらに、結婚選択と稼得能力の内生性をコントロールするため、結婚意欲をコントロールした。結果の頑健性の確認のため、OLSで推定した対数賃金率、対数年間労働所得、パネル固定効果モデルで推定した対数年間労働所得が結婚選択に与える影響についても分析し、パネル固定効果モデルで推定した対数賃金率を用いた場合の推定結果との比較を行った。 稼得能力が結婚選択に与える影響については、Cox比例ハザードモデルを利用した。以上の分析の結果、女性の稼得能力が高いほど、結婚する確率が高くなっていることが確認された。また、推定した対数賃金率と年齢階級ダミーの交差項で、稼得能力が与える結婚選択の年齢階級による効果の違いを確認した結果、稼得能力が与える結婚選択へのプラスの効果は、大学・大学院卒女性にとって年齢の上昇に伴い逓減していることが確認された。
著者
何 芳
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.129-146, 2018

本稿は、厚生労働省「21世紀成年者縦断調査」の個票データを用いて、女性の稼得能力と結婚選択との関係について分析を行った。分析では、学歴などの同じ属性のグループ内の賃金格差が存在することに配慮し、パネル固定効果モデルで推定した対数賃金率を稼得能力の代理変数として用いた。さらに、結婚選択と稼得能力の内生性をコントロールするため、結婚意欲をコントロールした。結果の頑健性の確認のため、OLSで推定した対数賃金率、対数年間労働所得、パネル固定効果モデルで推定した対数年間労働所得が結婚選択に与える影響についても分析し、パネル固定効果モデルで推定した対数賃金率を用いた場合の推定結果との比較を行った。稼得能力が結婚選択に与える影響については、Cox比例ハザードモデルを利用した。以上の分析の結果、女性の稼得能力が高いほど、結婚する確率が高くなっていることが確認された。また、推定した対数賃金率と年齢階級ダミーの交差項で、稼得能力が与える結婚選択の年齢階級による効果の違いを確認した結果、稼得能力が与える結婚選択へのプラスの効果は、大学・大学院卒女性にとって年齢の上昇に伴い逓減していることが確認された。