著者
依田 純和 Yoda Sumikazu ヨダ スミカズ
出版者
大阪大学大学院言語文化研究科
雑誌
言語文化研究 (ISSN:03874478)
巻号頁・発行日
no.42, pp.195-217, 2016

1917年にトリポリで「トリポリ地方のユダヤコミュニティーの地位に関する法令」と題する冊子が出版された。この冊子は2 種類のユダヤ・アラビア語で書かれている。一つは古典アラビア語をほぼそのままヘブライ文字に置き換えたもの(以下R)、もう一つはトリポリのユダヤ教徒によって用いられるアラビア語・現代ユダヤ教徒方言をヘブライ文字で表記したもの(以下Š)である。条件毎にRの後にŠが続き、ŠはRの翻訳または解説という体裁である。本論考ではこれら2 つの変種についてそれぞれの正書法およびいくつかの文法項目を比較・分析し、両者の性格を明らかにする。