著者
石亀 昌明 三浦 望 保坂 暁子 福島 隆行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.45-51, 1997-03-06

我々は、電子筆を用いた毛筆漢字や毛筆連綿ひらがな文字を出力できるワードプロセッサの研究を行っている。毛筆における側筆と呼ばれる筆法を表現するため、筆先の方向と筆の進む方向の差と筆の柔らかさによって筆先を回転させる筆の動的モデル(第一近似モデル)を考案した。電子筆は筆順に従って、各画の骨格データとして与えられる骨格線上にある点を進む。線の太さは筆圧値で変化する筆触パターンの直径で決定される。筆先の回転は、筆の進む方向と現在の筆先の方向と筆の柔らかさの関数として計算される。全ての毛の位置が計算できるため、濃淡表現やかすれ表現力実際のものにより近くできた。連綿表現のために骨格データの一部に連綿開始臨界点や連綿終了臨界点を設け、この間をbezier関数等で補間連結することで和歌などの連綿ひらがな文字列の出力が容易になった。