著者
伊藤 雅浩 佐川 雄二 大西 昇
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.87-92, 1996-02-29
参考文献数
11

入力単語をその出現順序にしたがって逐次処理を行なうオンライン言語処理モデルにおける、自己修復(言い直し)文の解析手法を提案する。対話をオンラインに処理することは、処理効率や認知学的見地から見ても有効であるが、自己修復のように話者自身が直前の発話を翻す発話を行なっている場合に問題が生ずる。本手法では名詞句、格、動詞句を扱う3つのバッファを用意し、それら3つの相互作用によって解釈を進める。そして、それぞれのバッファ独自の方法で自己修復をオンラインに検出し訂正する。試行的にインプリメントした結果、コーパス中の自己修復文の約80%について自己修復を正しく検出、訂正した。
著者
江渡 浩一郎 高林 哲 増井 俊之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.111, pp.5-11, 2004-11-11
参考文献数
10
被引用文献数
4

メーリングリストはグループ・コミュニケーションにおいて一般的であるが,送られたメールは通常はユーザが保持するだけであり共有されない.また送られたメッセージを編集してまとめることはできない.WikiWikiWeb(Wiki)はWeb上で情報を編集・共有するための柔軟で使いやすいシステムであるが,通常は編集履歴を保持せず,また誰が編集したのかはわからない.本論文では,この両者の長所を統合した新しいグループ・コミュニケーション・システムqwikWebを提案する.qwikWebは,メールを送信するだけで新しいメーリングリストを作ることができ,同時に対応するWikiサイトが作成される.全てのメールはWikiページとして蓄積され,通常のWikiページと同じように編集できる.ユーザは特別な管理を必要とせずに,メーリングリストとWikiの両方の機能を同時に活用することができる.
著者
嵯峨 園子 上野 学 篠原 稔和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.81-88, 2004-09-10

「インタラクティブメディア」とは,文字・画像・音声その他の多様な技術を介して,操作者との相互作用により,情報検索や何らかの生産活動を行うために用いられるシステムを示す.そこでは多くの要素が相互作用を発生させる要因となり,また,操作者に影響を与えることになる.本稿では,インタラクティブメディアをユーザビリティという視点から評価する手法を紹介する.この手法は,評価項目を三層構造で構成し,それぞれの項目間の優先度をパラメーターとして設定する機能をもつことで,汎用性と網羅性,また,高度なノウハウをもつ専門家による評価のメリットを配慮したものである.また,ビジネス上の実用性とその効果も目的とする.
著者
樋口 文人 伊賀 聡一郎 安村 通晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.49-54, 1997-05-16
被引用文献数
1

留学生のための日本語能力支援システムをWorld Wide Web(WWW)上に構築した。インターネット・ブラウザをユーザー・インタフェースに利用したこのクライアント・サーバー・システムは,留学生が聞き取れない部分や理解しにくい個所を繰り返して学べるように録画された授業とWWWの持つマルチメディア、ハイパーテキストの機能を用いて学習するためのシステムである。学習者は教科書や参考資料など教材として使われる日本語に現れる読みの難しい漢字や文章を"ふりがな"サーバー機能を利用して読みやすくすることができる。利用者による予備評価を行い有用であるとの評価を得た。本システムの様々な利用法について議論している。
著者
三浦 信幸 横路 誠司 井上 香織 高橋 克巳 高橋 健司 島 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.39-44, 1999-11-25

本稿では,インターネット上に存在する雑多な形式の情報を,位置に応じて適切に提供するための情報構造化や情報フィルタリングを行う手法を検討する.このような情報を適切に提供するためには,雑多な形式の情報に対して構造化を行い,構造化された結果を利用して,位置を含めた様々な観点から情報を分類・フィルタリングする必要がある.検討した手法では,情報構造化に際してパターンマッチや特定分野の辞書を用いた形態素解析などを行う.また,情報フィルタリングに際しては,構造化された情報と構造化されなかったHTMLファイル中の名詞や固有名詞の中からtfidf値を参考に頻出する情報を抽出する.さらに,検討した手法のプロトタイプである,モーバイルインフォサーチ3実験(MIS3)について紹介する.
著者
増井 俊之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.53-58, 2003-07-10
被引用文献数
2

ネットワークや計算機上において様々な情報検索システムが使われているが、多くのシステムにおいて、ユーザがなんらかの形で検索条件を明示的に示してから検索を開始するのが普通である。一方、人間の頭の中では、明示的に検索条件を示すのではなく、漠然とした連想によって情報検索が行なわれていると考えられるが、計算機上の検索においても、これに似た連想的な検索が有効に働く場合がある。本稿では、現在ユーザが着目中の情報に近い情報を自動的にシステムが提示し、ユーザは関連リンクをクリックするだけで連想的な検索を行なうことができる「近傍検索」システムを提案し、その効果について述べる。
著者
石亀 昌明 三浦 望 保坂 暁子 福島 隆行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.45-51, 1997-03-06

我々は、電子筆を用いた毛筆漢字や毛筆連綿ひらがな文字を出力できるワードプロセッサの研究を行っている。毛筆における側筆と呼ばれる筆法を表現するため、筆先の方向と筆の進む方向の差と筆の柔らかさによって筆先を回転させる筆の動的モデル(第一近似モデル)を考案した。電子筆は筆順に従って、各画の骨格データとして与えられる骨格線上にある点を進む。線の太さは筆圧値で変化する筆触パターンの直径で決定される。筆先の回転は、筆の進む方向と現在の筆先の方向と筆の柔らかさの関数として計算される。全ての毛の位置が計算できるため、濃淡表現やかすれ表現力実際のものにより近くできた。連綿表現のために骨格データの一部に連綿開始臨界点や連綿終了臨界点を設け、この間をbezier関数等で補間連結することで和歌などの連綿ひらがな文字列の出力が容易になった。
著者
山田 敏哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.41-46, 2003-05-16

本稿では、共同編集が可能なWebページシステムにおける利用者のアクセス状況を俯瞰的に表示する手法について述べる。CommSpaceビューワは複数のWebページに対する利用者のアクセス状況を二次元平面上に表示する。各Webページはアイコンで表現され、ページに対するアクセス頻度やアクセスの種類がアイコンの大きさや色で表現される。複数Webページの状況を俯瞰することにより、組織の中で現在どのような情報が関心を集めているのかを直感的に把握することが可能となる。ページアイコン上には利用者のページヘの最近アクセス時刻情報に従ってユーザアイコンが表示される。これにより、各情報に対するメンバの関心度を知ることが可能となり、組織の状況の把握やメンバ間のコンテクストの共有に有効となる。
著者
高林 哲 増井 俊之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.71-78, 2002-09-20

メールは一対一の情報交換だけでなく,メーリングリストを使ったグループコミュニケーションの手段としても活用されている.しかし,従来のメーリングリストは作成および管理に多くの手間がかかるため,気軽な用途には使いづらかった.本論文では,従来のメーリングリストの問題を解決し,メールを送るだけで手軽にメーリングリストを運営できるシステムQuickMLを提案する.QuickMLを利用することにより,いつでも・どこでも・誰でも手軽にグループコミュニケーションを行える.
著者
相川 哲弥
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.55-59, 1996-09-12
被引用文献数
3

弱視者と老眼者がパソコンやワープロ専用機を使う場合には、使い勝手は文字を拡大してテレビ画面に書く(表示する)どんな働きが備わっているかによっで決まる。文字の拡大表示と拡大描画について、どんな働きが望ましいかの設計を報告する。
著者
前田 篤彦 杉山 公造 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.33-40, 2002-11-23
被引用文献数
1

玩具が持つ豊かな世界をインタフェースに応用するための系統的なアプローチの一環として、ルービック・キューブ、メガリンクス、ピラミンクスなどの"置換パズル"を一般的に表す抽象モデルを作成し、CGを利用した新しい表現メディア(ラバー・バンド表現など)への変換方式を考案し、置換パズルのジェネレータを試作した。このジェネレータにより置換パズルの多くのバリエーションを生成することを通して、メディア変換の得失についての知見をまとめた。
著者
矢部 純 高橋 伸 柴山 悦哉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.13-18, 1999-10-15
被引用文献数
6

ネットニュースで行われた議論における投稿者関係や意見のやりとりの様子を理解し易くするために、議論をTVの討論番組のように見せる手法を提案する。また、この手法を使ってTVMLで書かれた台本を自動作成するシステムを紹介する。このシステムは、まずネットニュースのスレッドから引用情報にもとづいたシリアライズによって番組の脚本を作成し、それに投稿者やリファレンス等から抽出される意見のやりとりの様子を効果的に見せる演出を付加することで台本を作成する。
著者
加藤 善也 北上 義一 酒井 靖夫 小野 充一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.82, pp.1-6, 1999-01-29
被引用文献数
1

携帯型情報端末のための新しい入力技術として実験を進めている片手打鍵文字入力方式 (CUT式) を紹介する。4段3列の12キーを使い、初心者でもすぐに覚えられる配列で効率良く日本語 (ローマ字) が入力できる。実験の結果、被験者が120時間の練習により103文字/分の入力速度に達した。これは、QWERTY型キーボードを使ったローマ字入力の場合と比較し、約半分の時間で約80%の入力効率が得られたことを示す。
著者
板生 知子 塚本 昌彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.5-12, 2003-07-10
参考文献数
1
被引用文献数
5

ウェアラブル司会とは,イベントなどの司会者がHMD(ヘッドマウントディスプレイ)と小型コンピュータを装着し,講演者紹介などの決められた台詞やフロアにいるディレクタからの指示をHMDに表示しながら司会進行を行なうことである.ウェアラブル司会では,フロアのディレクタから司会者に会場の反応を反映したり,進行状況に応じて進行のタイミングを指示することが可能となるため,司会者は非常に円滑な進行のもとで会議の雰囲気を高められるものと考えられる.筆者らは,第65回情報処理学会全国大会の「ウェアラブルコンピューティング」特別トラックにWG委員/委員長として参加し,全3日間に渡るこのトラックで実際にウェアラブル司会を行なった.その結果,ウェアラブルコンピュータを活用することにより,機能性,舞台演出などに関して,従来にない新しい形式での司会進行が実現できることを実証した.同時に,コンピュータの操作性や装着性,ファッション性,スタッフ間の協調手段などにおける問題点を抽出した.
著者
古谷 雅年 佐藤 敦俊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.65-69, 2002-09-20
参考文献数
4

電子投票特例法の施行に伴い、一部の公職選挙において、投票日当日の投票所での電子投票が可能になった。これまで、日本国内ではタッチパネル式を中心に検討が進められてきたが、報告者は、市議会議員選挙など候補者が多数に及ぶ場合に、投票者への視認性を確保したまま候補者の一覧表示による公平性を担保する2次元コードスキャナ式を提案してきた。一方、公職選挙では、大多数の有権者にとって使いやすいユニバーサルデザインも求められる。本報告では、本方式で用いる候補者選択用紙、二次元コードスキャナ、画面表示などについて、使い勝手の視点から今後の課題を明らかにしていく。
著者
齋藤 真里 大村 和典
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.9-16, 1996-11-15
参考文献数
6
被引用文献数
2

目標が不明確な情報探索行動をモデル化するために, 情報探索の課題を用いた心理実験を Thinking Aloud 法で行った. この実験の課題で得られた発話を分析し, 目標が不明確な情報探索行動には,「情報の取捨選択を行うプロセス」と「目標を明確化するプロセス」が存在することがわかった. また, 探索目標が構造化されていくパターンが見いだされた. ここでは, この二つのプロセスが探索行動でどのように機能しているかを表すモデルを提案する, また, この二つのプロセスと, 情報探索行動における動機付けの要因である「達成感」と「目標の明確化」との関連性が示唆された.
著者
安地 亮一 城塚 音也 桑田 喜隆
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.33-38, 1996-11-15
参考文献数
4
被引用文献数
4

金融相談端末上の相談業務を音声対話を理解することで知的に支援する実験システムを構築した。知識の少ないオペレータでも本システムの提供する知識を元にスムーズな対話を実現でき、サービス品質を維持できることを目的としている。本稿では、まず即時対話支援の位置づけを明らかにし、金融相談業務への適用の有効法を提案する。さらに具体的な実験システムの構成について述べる。
著者
上園 一知 大矢 俊夫 片岡 朋子 片岡 裕 小原 啓義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.55-62, 1997-01-16
被引用文献数
2

コンピュータネットワークは国際的な発展を遂げたにも関わらず、コンピュータで同時に扱える文字種は制限されているのが現状である。真の国際化計算機環境を実現するためには、既存の文字コードを超えて全ての文字・言語を同時に混在使用可能であることが必須条件となる。特に出力に関しては、表示される文字図形と文字・文字コードの写像関係が常に言語に依存すると見なされ、更に横書き・縦書きといった文字列の表記方向が混在するために,全世界の文字・言語を全て網羅することは非常に複雑で、一般に不可能と考えられてきた。しかし、世界中の文字・文字コード・正書法を分析した結果、少数の関数で図形決定が可能であり、更にその配置手法が明らかとなった。この関数をハードコーデッドせずに実装することで、全世界の文字廟言語が混在したテキストを単一システムで表示可能となった。
著者
中嶋 志保里 浜田 徹哉 上田 淳也 奥出 直人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.65-72, 2004-09-10

若者を中心に形成される「サブカルチャー」は、その独自のスタイルが新たな文化の形として近年脚光を浴びる一方で、外部からはブラックボックスのような存在と見なされシャットアウトされている。こういった状況において、外部の人間(ビギナー)と内部の人間(エキスパート)という二項乖離の概念を打ち破って、新たなカルチャーや人との交流のニーズを満たし、アクティビティーの合間にコミュニケーションを発生させるタンジブルメディアがGismoである。ビギナーの動作によりその興味と合致したコミュニティーヘナビゲートし、携帯するリュック内の興味をエキスパートと共有することで交流を深めていく。エキスパートはそうした外部との接触から、新たなカルチャーとの出会いを果たす。またエキスパートの技の情報を搭載したチップを交換するシステムは、ビギナーの技術上達にも役立つことが期待される。
著者
山崎 和彦 笹島 学 岡田 衛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.110, pp.73-80, 2004-09-10

ユーザーエクスペリエンス・デザイン(UED)がこれからの人工物や環境をデザインする手法として期待されている。ここでは,UEDのアプローチを企業に効果的に導入するために,UEDとはどのような概念か確認するとともにUEDを考慮したデザイン手法について提案する。また,そのデザイン手法をサポートするための道具として,UEDスタジオというツールを提案し、そのツールの開発およびそのツールを活用した事例を紹介する。