著者
信田 春満 張 磊 笠原 健治
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 93回 (2021/11) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.165-166, 2021-11-20 (Released:2021-11-20)

世界初の「ディープラーニング技術を用いて言語生成し会話する家庭用コミュニケーションロボット」として認定された自律型会話ロボット Romi とその技術について紹介する.本稿では Romi の紹介と全体的な技術要素の構成の説明を行い, Romi の主要な2つの会話エンジンである ScenarioGraph と Cooper について説明する.ScenarioGraph はルールベースの会話を行うエンジンで主に天気予報を聞くなど機能的な会話に使用され, グラフで表現された会話ルールに従って会話を行う. Cooper は Romi のおよそ9割の会話を担う Transformer ベースの会話エンジンであり, Encoder 部分と Decoder 部分を統合することで比較的小さなサイズのモデルでも高品質な会話を短いレスポンスタイムで行えるよう工夫されたモデルである.しかし,このようなシステムのペルソナは初めに設定されたもので固定されており,事前に設定されたプロファイルから自動的に更新することができない.例えば,条件づけられていないペルソナについての質問がシステムに入力された場合には,システムが新たなペルソナを含んだ発話を生成する可能性がある.そのため,システムが一貫した対話を行うにはこのような新たなペルソナも考慮する必要がある.そこで本研究では,ペルソナ対話システムが発話履歴に応じて自身のペルソナを自動で更新するという新たな問題設定を考え,これを実現するために,ペルソナ追加機構を持つペルソナ対話システムを提案し,その際に起こりうる問題の影響の調査を行った."
著者
信田春満 尾形哲也 奥乃博 高橋徹 日下航
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.125-126, 2011-03-02

認知ロボティクスにおいて身体図式の獲得は重要なテーマの一つである。従来研究では運動指令値と視覚を相関学習させるため,視覚中の身体位置が既知であることが前提であった。対して本手法は「予測(操作) できる部分が身体である」という考えに基づき、運動指令値と視覚の関係を予測学習することによって画像中の他者と自己の身体識別を可能とした。具体的には神経力学モデルであるMTRNN に運動指令値及び自己と他者の身体を含む視覚情報を入力し予測学習させ,予測可能部分を自己身体とした。実験の結果,MTRNN は運動指令値のみから自己身体を他者身体に比べ平均10 倍の精度で予測できることが確認された。