著者
山崎 天 坂田 亘 川本 稔己 小林 滉河 Nguyen Tung 上村 卓史 中町 礼文 李 聖哲 佐藤 敏紀
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 93回 (2021/11) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.113-118, 2021 (Released:2021-11-20)

本稿では、対話システムライブコンペティション4のオープントラックに提出した対話システムについて述べる。本システムはTransformerをベースとした言語モデルの「HyperCLOVA」を用い、ユーザの発話に応じて選択するFew-Shotプロンプトを利用して応答候補の生成を行う。プロンプトは4種類あり、一般的な応答生成、知識応答生成、ペルソナ一貫性を考慮した応答生成、短文抑制のための応答生成を目的としたものをそれぞれ用意し、組み合わせて利用する。後に、不適切な発話を除去するフィルタリングを行うことで、最終的な出力を得るシステムとなっている。予選の結果では1位を獲得し、大規模言語モデルが雑談応答生成に有効であることを示したが、攻撃的な応答生成をはじめとしたいくつかの課題が顕在化した。本稿では、大規模言語モデルを用いた雑談応用における現存の課題や今後の方向性を議論する。
著者
井上 昂治 Lala Divesh 河原 達也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 93回 (2021/11) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.155-160, 2021-11-20 (Released:2021-11-20)

音声対話システムがユーザとの関係性を構築・維持するためには、ユーザに対して共感を示すことが重要である。共感を示すためのふるまいとして笑いに着目するが、適切なタイミングで適切な笑いを生成することは高度な対話理解を要する。そこで、本研究ではユーザが先行して笑った場面に限定し、そこでシステムも笑う「共有笑い」の生成に取り組む。提案システムは、(1)ユーザの笑いの検出、(2)システムによる共有笑いの有無の予測、(3)システムの笑いの種類の選択、これら3つのモジュールで構成される。各モジュールの入力は先行するユーザ発話の音響特徴である。著者らが収録したお見合い対話データを用いて各モジュールのモデルを学習した。特に、(2)共有笑いの有無の予測では、ベースライン(ランダム)よりも高い精度で予測できることを確認した。
著者
清水 健吾 上垣 貴嗣 菊池 英明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 94回 (2022/3) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.06, 2022-02-25 (Released:2022-02-25)

雑談対話システムがユーザに「また対話したい」と思わせるための方法として,特定のキャラクタらしさをシステム応答に付与する方法が考えられる.本研究は,強化学習を用いてニューラル対話生成モデルをfine-tuningすることで,特定のキャラクタらしい雑談応答を生成する対話生成モデルを提案する.Fine-tuningの際に,特定のキャラクタらしさを持つ独立した発話データのみを必要とし,対話形式のデータを必要としない点で既存研究と大きく異なる.評価実験では,被験者に提案手法による対話システムとチャットアプリ上で数ターンの対話を行ってもらった.評価実験の結果,提案手法による対話システムが,ユーザに特定のキャラクタらしさの印象を与え,「また対話したい」と思わせる効果を持つことを確認した.
著者
榎本 美香 伝 康晴
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 98回 (2023/9) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.43-48, 2023-08-25 (Released:2023-08-25)

我々は、野沢温泉で行われている道祖神祭り(1月)、湯澤神社例祭(9月)の準備作業を、11年間に渡って調査し続けてきた。年々、過疎化や少子化により祭りの執行者の人数が減る傾向にあり、それに伴い作業の簡略化や業者への委託など、慣習的な祭りの執行形式が変遷してきている。従来は、長時間に及ぶ力作業を要する非常につらい作業を共に行うことで、大きな達成感が得られ、執行者たちの間に強い結束感が生じていた。仲間と過ごすそれらの時間が徐々に失われつつあることが、この祭りを通した執行者たちの地域コミュニティの絆へどのように影響するのかについて考察する。
著者
山本 敦 牧野 遼作
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 100回 (2024/02) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.90-94, 2024-02-20 (Released:2024-02-20)

「非典型的相互行為atypical interaction」とは、会話分析を主な分析手法としてコミュニケーション障害の相互行為的側面に着目した研究を行う比較的新しい学際的領域である。本発表では、非典型的相互行為者("障害を呈する"相互行為参与者)について従来の"能力が損なわれている不完全な典型者"という見方から、"限定された能力を駆使して相互行為状況に適応しようとする非典型者"、さらには"典型者とは異なる形の能力を持つ非典型者"という見方が提示されてきた流れを概観する。そのうえで、この流れを推し進め非典型者の"コミュニケーション能力の特有性"を分析していく際には、会話分析の手法には理論上の限界があるだけでなく、誤った知見を体系的に生み出してしまう危険がある可能性を指摘し、その問題の解決策についても論じたい。
著者
越智 景子 井上 昂治 ララ ディベッシュ 河原 達也 熊崎 博一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 99回 (2023/12) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.78-83, 2023-12-04 (Released:2023-12-04)

精神科デイケア(精神科リハビリテーション外来)における傾聴ロボットの「きくロボ」の有用性について検討する。利用者が発した言葉を繰り返すなどのカウンセリング技法に基づいて開発された傾聴ロボットが、精神科デイケアの環境でが効果的な活動を提供できるかどうかを評価するために、会話実験を行った。ロボットは、18名のデイケア利用者が最近印象に残った出来事について話すのを最長3分間傾聴を実施した。その結果、会話によって自己評価の覚醒度が高まることが示された。また対話システムの応答の分析により、きくロボの評価応答や相槌の頻度が頻度が高かった対話のほど協力者が対話後に気分が改善したことが分かった。
著者
稲葉 通将 高溝 恵子 浮世 満理子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 99回 (2023/12) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.166-171, 2023-12-04 (Released:2023-12-04)

日本における10~39歳の死因順位の1位は自殺であり,現在の日本社会におけるメンタルヘルスケアの問題は深刻である.世界的にも,うつ病・不安障害により年間1兆ドルの生産性が失われているという報告がある.そこで,情報技術を用いてメンタルヘルスに関する問題解決を目指した研究が活発に行われており,カウンセリングを行う対話システムの研究開発も行われている.カウンセリング対話システムの多くは大規模言語モデル(LLM)を活用して構築されている.しかし,LLMを用いたカウンセリング対話システムの性能の定量的な評価が十分に行われているとは言い難い.本研究では,現職のカウンセラーがカウンセリング対話を模したロールプレイを行ったデータを収集し,そのデータ中のカウンセラー役の応答をGPT-4が生成した場合の適切さを別の複数名のカウンセラーが評価した結果について報告する.
著者
角森 唯子 Graham Neubig Sakriani Sakti 平岡 拓也 水上 雅博 戸田 智基 中村 哲
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 75回 (2015/10) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.04, 2015-10-26 (Released:2021-06-28)

When humans attempt to detect deception, they perform two actions: looking for telltale signs of deception, and asking questions to attempt to unveil a deceptive conversational partner. There has been a significant amount of prior work on automatic deception detection, which focuses on the former. On the other hand, we focus on the latter, constructing a dialog system for an interview task that acts as an interviewer asking questions to attempt to catch a potentially deceptive interviewee. We propose several dialog strategies for this system, and measure the utterance-level deception detection accuracy of each, finding that a more intelligent dialog strategy results in slightly better deception detection accuracy.
著者
井口 健太 小島 有悟 小林 葉 髙井 智琉 平田 彩乃 矢木 陽 小橋 拓司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 97回 (2023/2) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.05-10, 2023-02-27 (Released:2023-02-27)

これまで研究が乏しかった拍手という事象に着目し,「集合的行為としての拍手」を研究対象として,多人数集団による拍手の更なる解明を目指して研究を行った。本校体育館で行われたイベントにおいて,生徒や保護者を含む200人規模の集団の拍手の記録,分析をした。検証の結果,イベント開始時に発生する拍手の開始,終了,またイベント終了時に発生する拍手の開始は,発表者の発話の開始,終了などの周囲からの影響を大きく受けた。その一方,イベント終了時に発生する拍手の終了には個人特有の傾向が強く現れた。
著者
白松 俊 末永 彩羽 吉村 友希 伊藤 孝行
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 97回 (2023/2) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.30-37, 2023-02-27 (Released:2023-02-27)

2022年にOpenAIが公開したChatGPTやGPT-3.5は、プログラミングに無縁な人々にも広く浸透し、「AIの民主化」とも呼ばれる社会現象になっている。これら大規模言語モデルが生成する返答には嘘やフェイク情報が高確率で含まれるという問題はあるにせよ、非常に幅広いドメインに関して論理的な応答生成が可能である。フェイクが含まれる可能性があることを踏まえて活用すれば、議論の発散フェーズにおける発想支援や、社会課題解決に関するアイデアワークショップ(アイデアソン)などで活用できる可能性がある。また、ファシリテーターが行うような問いかけを生成したり、議論を構造化するためにも、大規模言語モデルが活用できる可能性がある。本稿では、GPT-3を活用したプロトタイプの評価実験や、ChatGPT上での社会課題解決に関する対話例を紹介し、その活用可能性を検討する。