著者
高野 伸栄 倉内 公嘉 荒木 正芳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.284-298, 2009 (Released:2009-07-17)
参考文献数
26
被引用文献数
2

本研究は公共工事の入札制度が抱える問題点を踏まえ,住民が当事者意識を持ちつつ,内容を理解しやすい公共工事に対して,住民参加型入札制度の導入を提唱し,模擬入札実験を通して,その可能性を検証したものである. まず,アンケート調査の結果,住民は工事を行うにふさわしい業者として,価格以上に質を重視し,発注者が求めるものと大差がない一方,公共工事の入札に対する印象は不信感が強いことを明らかにした.次にその解決にあたり,住民参加型入札制度を提唱し,その効果と課題を考察した上で,模擬入札実験を行い,住民は一定条件の下では建設業者を合理的に評価することが可能である,本制度の適用により,入札制度に対する意識が変化する可能性がある等の結論を得,住民参加型入札方式が入札制度の改善に有効な方法である可能性を示した.