著者
倉田 靜佳
出版者
東北大学
雑誌
言語科学論集 (ISSN:13434586)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.47-58, 2003-12-10

曲亭馬琴の読本『南総里見八犬伝』における「然」が後接する漢字語につけられた、字音語振り仮名について、一般的に「漢語」としては呉音から漢音への移行の優勢が常識とされるのに反し、「ゼン」から「ネン」への交替が多くの漢字語において顕著であり、しかもその交替時期は第6・7輯 (文政10・11年) を境としていることを明ら加こし、それは各語における音連結や文脈には起因せず、筆工の交替による可能性を指摘した。