著者
元杉 昭男
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.227, pp.651-656, 2003-10-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
12

渇水年において河川取水をめぐって, 新たに開発された上流の農業利水団体と古くから河川水を利用してきた下流団体との間に発生した水利紛争および古田優位から上流優位へという水利慣行の成立に非協カゲームのモデルの適用を試みた.その結果, 合理的な選択として, 紛争に伴う人的物理的コストを考慮すれば, 政治権力が介入しない限り, 上流団体が上流優位行動をとり, 下流団体 (古田側) がそれを容認する帰結となり, 古田優位は成立しない. この場合に古田側が監視等の予防措置を取れば, 紛争コストと予防措置コストの和が渇水時の総被害を上回らない限り, 古田優位も成立し得ることが明らかになった. ゲーム理論の適用が水利紛争の構造解明に有益である.
著者
元杉 昭男
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.179-184,a1, 1989
被引用文献数
1

土地利用型農業の生産性向上には経営規模の拡大ばかりでなく, 新技術を駆使した大区画圃場整備も重要な意義を有する。大規模農家は経営規模に対して意欲的であるとともに, 圃場の大型化に興味をもっている。<BR>事業を推進してゆくためには, 農地の流動化を促進し, 新しい施行技術・営農技術の開発を急ぐとともに, 技術吸収力と経営感覚にすぐれた担い手農家の育成が大切である。<BR>また, 今後の課題として, 小規模農家を事業の中にどう組入れてゆくかが技術開発の課題となるものと思われる。