著者
大島 良美 四方 雅仁 大坪 憲弘 光田 展隆 高木 優
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.416, 2010

地上部の表皮細胞表面を覆っているクチクラ層は、主に脂質性のクチンポリマーとワックスからなり、水分の損失を防ぐとともに、病原菌や昆虫に対する防御の役割を果す。ワックスは長鎖脂肪酸、アルコール、ケトンなどの混合物で、成長段階や環境変化によって多くの生合成遺伝子が制御されている。これまでに、シロイヌナズナのAP2/ERFファミリー転写因子WAX INDUCER1(WIN1)がクチン及びワックス合成を正に制御することが知られているが、その他の制御因子は明らかになっていない。本研究では、CRES-T法の適用によりワックスが減少して器官が接着する表現型を示す転写因子を探索し、MYB転写因子を同定した。この転写因子をWAX REGULATOR1(WAR1)と名付けた。WAR1キメラリプレッサー(WAR1-SRDX)発現植物の茎表面をSEMで観察したところ、エピクチクラワックスの結晶が減少していた。さらに、マイクロアレイ実験によるWIN1-SRDX発現植物とのトランスクリプトーム比較において、高い相関がみられた。以上の結果より、WAR1はWIN1同様にワックス生合成を制御していることが示唆された。現在、WAR1、WIN1と機能重複している転写因子についても解析を進めている。
著者
藤原 すみれ 光田 展隆 木越 景子
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、一年生植物であるシロイヌナズナにおいて、ある転写因子を強く発現させた際に見られる多年生的形質やその関連因子に着目し解析することで、一年生植物と多年生植物の違いを生み出す未同定の因子を発見・解析するとともに、分子育種等に役立つ知見を得ることを目的として実施した。その結果、当該転写因子は日長や温度といった外的環境による制御およびスプライシングパターンの制御などの内的制御を受けながら多様な役割を発揮し、植物が適切に一年生植物として生長できるように機能することが示唆された。さらに、これらの制御に関与すると考えられる新規の因子を同定した。