著者
高橋 純一 山崎 和久 光畑 雅宏 Martin Stephen J. 小野 正人 椿 宜高
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.101-110, 2010-05-30
被引用文献数
1

外来種セイヨウオオマルハナバチBombus terrestrisの野生化は、日本の在来マルハナバチの減少を引き起こしている。北海道の根室半島は、在来マルハナバチ15種のうち10種が分布し、北海道の希少種ノサップマルハナバチB.florilegusも生息しているため、重要な生息地の1つである。我々は2009年5月から9月に根室半島において在来マルハナバチ10種と外来種セイヨウオオマルハナバチの生息状況を調査した。その結果、訪花植物上で累計1000個体以上の在来マルハナバチ10種と外来種セイヨウオオマルハナバチを観察することができた。セイヨウオオマルハナバチは根室半島全域で見つかったが、根室市街地でのみ優占種となっていた。ノサップマルハナバチは女王蜂2頭と働き蜂14頭を沿岸部でのみ観察することができた。本種は根室半島において生息地の縮小及び分断化が進んでいるが、特にセイヨウオオマルハナバチが多い地域では、希少種ノサップマルハナバチと近縁種エゾオオマルハナバチBombus hyporita sapporoensisの減少が示唆された。これらの結果は、根室半島における在来マルハナバチの保護に早急な保全対策が必要であることを示している。