- 著者
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光藤 宏行
中溝 幸夫
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第7回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.122, 2009 (Released:2009-12-18)
跳躍眼球運動(サッカード)による網膜像の移動によって,外界が動いて見えることはない。このことは,サッカード時に視野の安定を保持する機構が働くことを示唆している。近年,この視野安定が失われる新しい現象が報告された(光藤,2008,日本視覚学会夏季大会)。両眼で輝度差のある静止刺激をダイコプティックに呈示し,それを見ながらサッカードを行うと,一方の眼の像は静止して見えるがもう一方の眼の像はサッカードに伴って動いて知覚される。本研究では,この運動錯視がサッカードによる見えの抑制で説明できるかを検討するために,刺激呈示中に刺激の一部を短時間変化させ,その検出率を測定した。その結果,さまざまな刺激条件で類似したサッカード抑制がみられた。したがって,光藤(2008)が報告した運動錯視は従来から知られているサッカード抑制では説明できず,視野の安定にはいまだ知られていない視覚過程が寄与していることを示唆する。