- 著者
-
中林 敏郎
児島 裕二郎
- 出版者
- Japanese Society for Food Science and Technology
- 雑誌
- 日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.3, pp.108-111, 1980-03-15 (Released:2010-01-20)
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
-
3
コーヒーの褐色色素の形成機構を解明する一つとして,シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて,コーヒー豆焙煎中のキナ酸含量の変化を検討し,あわせて酒石酸,クロン酸およびリンゴ酸含量の変化も調べた結果,(1) 市販のコーヒー生豆と焙煎豆中の上記4有機酸の含量は表2の通りで,特にキナ酸はフレンチローストで著しく少なかった。(2) 焙煎中,酒石酸,クエン酸,リンゴ酸は豆の重量減に伴い,メディアムローストまで相対的に増加した後,熱分解により減少した。キナ酸もメディアムローストまで相対的に増加した後,熱分解により減少を始めるが,フレンチロース以降に再び増加した。(3) 以上の結果から,コーヒー豆焙煎中,フレンチロースト以降の段階の熱反応で,褐色色素よりキナ酸が遊離するものと推定した。