- 著者
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児玉 年央
- 出版者
- 大阪大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2009
多くのグラム陰性病原細菌は3型分泌装置を使って、エフェクターと総称される病原因子を直接宿主細胞に注入することで、病原性を発揮する。申請者はこれまでに食中毒原因菌である腸炎ビブリオの3型分泌装置の一つであるTTSS2が本菌の下痢原性に必須であることを明らかにしてきた。しかしながら、このTTSS2依存的な下痢原性に寄与するエフェクターは不明であった。本研究では、TTSS2依存的な下痢原性に寄与する新規エフェクターとしてVopE を同定した。VopEは構造的にN-terminal domain、long repeat (LR)domain、C-terminal domainに分けられる。申請者はLR domain、C-terminal domainがそれぞれ独立してactin 結合活性を持つこと、これらの結合がVopE の下痢誘導活性に必要であることを見いだした。さらに、TTSS2やVopEはnon-O1/non-O139 V. choleraeの下痢原性にも寄与していることを明らかにした。これらの結果により、VopEはF-actinを標的とする新規エフェクターであり、TTSS2を保有する病原細菌の下痢原性に寄与していることが示唆された。