著者
谷本 和紀 入交 重雄 関 雅之 葛城 有希子 山田 豊 木下 真孝 三島 伸介 倭 正也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.5, pp.866-873, 2016-05-10 (Released:2017-05-10)
参考文献数
4

71歳,男性.前腕および下腿の皮膚硬化を自覚し,近医を受診した.全身性強皮症を疑われて当院を紹介された.皮膚硬化を認めたが,四肢末梢の皮膚は保たれ,抗核抗体や各種自己抗体は陰性であり,全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)と合致しない点も認められた.皮膚生検を施行し,病理組織学的にはSScと矛盾しない結果であった.経過中に皮膚のgroove signを認め筋膜炎脂肪織炎症候群(fasciitis-panniculitis syndrome:FPS)を疑い,皮膚から筋まで一塊(en bloc)に生検を施行し,FPSの確定診断に至った.非典型的なSSc疑似症例では,FPSも鑑別診断に挙げる必要がある.