著者
入口 真夕子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PO-038, 2021 (Released:2022-03-30)

自閉スペクトラム症(ASD)には,感覚過敏,表情の読み取りの困難などの特性が知られる。一方で,色の知覚認知特性については未だ分からないことも多い。本研究では,ASD児童の色の知覚認知特性を明らかにするため,ASD児童はどの色を好むのかについて検証することを目的とした。ASDの診断のある児童8名(男児:4名,女児:4名)が本研究に参加した。調査は質問紙を児童の保護者へ郵送し,自宅で回答する形で実施した。質問紙には,5色(赤,黄,緑,青,茶)のカラーチップが添付され,児童は1色ずつその色を見て,どのくらい好きかを5段階のうち1つを選択することで回答した。その結果,ASD児童のうち70 %以上は青を最も好み,続いて約60 %の児童が緑を好むことが分かった。半数近くの児童は赤,黄,茶の好みを「ふつう」と評価したが,茶のスコアは全体的に最も低くなった。この結果から,ASD児童は青や緑などの寒色系の色をより好むことが示唆される。本研究は参加人数が限られているため,今後より多くのASD児童を対象に調査を継続し,定型発達児童と比較することでASDの色の知覚認知特性を明らかにしたい。 抄録訂正(誤)85 %(正)70 % (誤)70 %(正)約60 % (誤)赤と黄は約60 %,茶は50 %の児童が好んだが,半数近くの児童はあまりこれらの色を好まないことが示された。(正)半数近くの児童は赤,黄,茶の好みを「ふつう」と評価したが,茶のスコアは全体的に最も低くなった。