著者
森本 幸子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-162, 2021 (Released:2022-03-30)

近年,SNS上での誹謗中傷が社会問題となっている。ここ数年,過激化する誹謗中傷に耐えかねて命を落とす事件も発生しており,その対策が待たれるところである。本研究では,SNS上での攻撃行動を促進する要因を明らかにするためにオンラインでの縦断調査を実施した。第1回調査は2020年12月に実施し,第2回調査は2021年1月に実施した。調査内容は,SNS利用歴,過去1週間当たりのSNSの利用状況,過去1か月間の他者からの受容経験と拒絶経験,SNS利用に関する規範意識,SNS上での攻撃行動であった。SNS上での攻撃行動とその他の変数との因果関係を検討するために,交差遅れ効果モデルを用いて男女ごとに分析を行ったところ,男女ともに過去1か月に他者から受け入れられた経験による影響を低く見積もる人ほど,2回目の調査時のSNS上での攻撃行動が多いことが分かった。また,1回目の調査時点における規範意識が低い男性ほど2回目の調査時のSNS上での攻撃行動が多いことが分かった。これらの結果より,現実場面での他者からの排除や規範意識の低さが,SNS上での攻撃行動を促進させる可能性が示唆された。
著者
柴田 侑秀
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PE-003, 2021 (Released:2022-03-30)

従来の被害者非難研究には,どのような行為をもって被害者非難とみなすかが一貫していないという問題があった。また,先行研究で利用されている被害者非難尺度の多くは研究者が恣意的に考案したものであり,被害者非難の実態を反映しているとは言い難い。そこで本研究は,特定の性犯罪事件を報じるWeb上のニュース記事に付与されたコメントを対象としてテキスト分析を行い,被害者非難の実態を明らかにすることを目的とした。対象とした記事はとある自治体の女性議員が被害を訴えたもので,2019年11月と2020年12月に報道された。付与されたコメントは合計で約2500件だった。共起ネットワークを検討した結果,被害者の言動がコメントをした者にとって「普通」ではないとみなされると被害の訴えが疑われやすくなることが分かった。また,コーディングルールを用いた分析の結果,被害者の性的魅力に言及した非難や,被害者と精神疾患の関連をほのめかす非難が多く見られることも明らかになった。一方で,事件特有の文脈に依存するコメントも多く見られ,特定の事件の報道に対する反応から一般的な被害者非難の特徴を検討することの難しさも明らかになった。
著者
針原 素子 青田 萌花
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-173, 2021 (Released:2022-03-30)

ぬいぐるみを主役に写真を撮り,SNS上でそれを投稿する「ぬい撮り」について,投稿内容の分析から文化比較をおこなった。具体的には「日本人は欧米人に比べて,ぬいぐるみを物体ではなく,生きている存在として扱うのではないか」「日本人は欧米人に比べて,ぬい撮りのぬいぐるみを自分の分身として用いるのではないか」という予測を立て,インスタグラムの投稿内容を比較した。調査1では,日本語アカウントと外国語アカウントのインスタグラムに投稿された写真を分析し(ぬいぐるみで検索した493枚,plushで検索した473枚),日本語アカウントの写真のほうが,生きている存在として扱われる割合が高いことが分かった。調査2では,“ぬい撮り”,“plushielife”などで検索した「ぬい撮り」を意図して投稿しているインスタグラムのアカウントについて分析した。その結果,外国語アカウントでは,ぬいぐるみは持ち主とは別の人格として描かれることが多いこと,日本語アカウントでは,ぬいぐるみを自分の代わりの主体として,自分語りをする「ぬい撮り」が行われることが多いことが分かった。
著者
黄 景逸 阿部 恒之
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PE-015, 2021 (Released:2022-03-30)

不適切な婚姻関係である不倫問題への態度に,道徳基盤,特に公正感がもたらす影響を検討する。■方法 ・対象・手続き:2020年2月インターネット調査を行った。都市圏と非都市圏の居住区(2),20-60代の各年代(5),男女(2)でセルを構成し,計4,120名が回答。全てを分析対象とした。・測度:①婚姻関係への態度:不倫問題への評価(7項目,6件法)。②道徳基盤:Haidt(2012)の和訳版5尺度(計30項目,件法)。■結果 婚姻関係への態度について探索的因子分析(最尤法,固有値1基準,プロマックス回転)を行った結果,婚姻重視と不倫非難の2因子が抽出された。これらそれぞれを目的変数,道徳基盤の5尺度を説明変数とする重回帰分析を行ったところ,婚姻重視因子も不倫非難因子も,公正/欺瞞以外の4尺度が有意に影響しており,婚姻重視因子は忠誠/背信が,不倫非難因子は神聖/堕落が最も強く影響していた。■考察 不適切な婚姻関係への態度は婚姻重視と不倫非難の2因子で構成されており,いずれにも公正/欺瞞の道徳基盤の影響は認められず,いわゆる善悪判断には基づかないことが示唆された。※JSPS科研費17H02259
著者
入口 真夕子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PO-038, 2021 (Released:2022-03-30)

自閉スペクトラム症(ASD)には,感覚過敏,表情の読み取りの困難などの特性が知られる。一方で,色の知覚認知特性については未だ分からないことも多い。本研究では,ASD児童の色の知覚認知特性を明らかにするため,ASD児童はどの色を好むのかについて検証することを目的とした。ASDの診断のある児童8名(男児:4名,女児:4名)が本研究に参加した。調査は質問紙を児童の保護者へ郵送し,自宅で回答する形で実施した。質問紙には,5色(赤,黄,緑,青,茶)のカラーチップが添付され,児童は1色ずつその色を見て,どのくらい好きかを5段階のうち1つを選択することで回答した。その結果,ASD児童のうち70 %以上は青を最も好み,続いて約60 %の児童が緑を好むことが分かった。半数近くの児童は赤,黄,茶の好みを「ふつう」と評価したが,茶のスコアは全体的に最も低くなった。この結果から,ASD児童は青や緑などの寒色系の色をより好むことが示唆される。本研究は参加人数が限られているため,今後より多くのASD児童を対象に調査を継続し,定型発達児童と比較することでASDの色の知覚認知特性を明らかにしたい。 抄録訂正(誤)85 %(正)70 % (誤)70 %(正)約60 % (誤)赤と黄は約60 %,茶は50 %の児童が好んだが,半数近くの児童はあまりこれらの色を好まないことが示された。(正)半数近くの児童は赤,黄,茶の好みを「ふつう」と評価したが,茶のスコアは全体的に最も低くなった。
著者
若本 純子 増坪 玖美
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-080, 2021 (Released:2022-03-30)

若い世代のTwitter利用は自分の趣味や好きなものの情報交換のために活用されている(総務省,2017)。本研究では現実には会ったことのない相手とTwitterで交流する場面において,相手への好意や自己開示が何によって規定されるかを明らかにすることが目的である。現実場面における対人魅力の規定因である類似性と近接性を,推し対象の類似性,居住地の近接性として導入し,2(推し対象の類似性高・低)×2(居住地近接・遠方)を被験者間要因とするオンライン調査を実施した。2大学の学生と Twitter上で協力者を募集し,286名から同意を得た。2要因分散分析の結果,推し対象の類似性と居住地の近接性の主効果が有意であり,好意的なやりとりを前提としたTwitter交流は現実場面と類似すると推測された。さらにオタクジャンルをドルオタと二次元オタに分けて検討したところ,二次元オタのみで交互作用が有意であり,ドルオタは近くに住む相手と生活にかかわる開示をし推し活動に繋げると推測されたのに対し,二次元オタは推しが一致しない場合,現実にかかわる交流は低調であることが示唆された。
著者
石川 知夏 小林 哲生
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PI-005, 2021 (Released:2022-03-30)

言語音の印象に関する研究では,半濁音・清音・濁音の順に丸い印象を持つことが報告され,音象徴との関連から研究が進められている。しかし,日本語の濁音と半濁音はそれぞれに対応する記号(濁点と半濁点)が存在し,その形状が言語音の印象評定に影響を与える可能性がある。そこで本研究では,日本語話者と英語話者を対象として濁点と半濁点が仮名文字の丸さ-鋭さ評定に影響を与えるかを検討した。濁点・半濁点を付与可能な文字(は・ひ・ふ・へ・ほ;既存文字)と通常付与しない文字(れ・よ・レ・ヨ;新奇文字)に対して濁点と半濁点を付与したものとしないものを提示し,それぞれの文字の丸さ-鋭さを7段階で評定させた。その結果,既存・新奇いずれの文字でも日本語話者は半濁点を含む文字・清音を示す文字・濁点を含む文字の順で有意に丸いと評定し,半濁音・清音・濁音の順に丸い印象を持つという結果と一致していた。一方,英語話者は既存・新奇いずれの文字でも日本語話者と同様の結果は得られなかった。これらの結果から,母語話者にみられる濁点と半濁点の記号に関する知識が濁音と半濁音の印象評定に影響を与えている可能性が示唆された。
著者
小森 政嗣 城下 慧人 中村 航洋 小林 麻衣子 渡邊 克巳
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PH-002, 2021 (Released:2022-03-30)

ガウス過程選好学習(Gaussian process preference learning)と敵対的生成ネットワークの一種であるStyleGAN2を組み合わせた実験を行い,外集団構成員が有していると想定される顔特徴の可視化を試みた。日本の大学生116名が提供した顔画像を,Flickr-Faces-HQ(FFHQ)で学習したStyleGAN2の潜在表現に埋め込んだ。埋め込まれた潜在表現に対し主成分分析を行い8次元の顔部分空間を構築した。実験参加者に,この顔空間(±2SD)から生成された2つの画像をモニタに並べて提示し,「より巨人/阪神ファンらしい顔」を選択する課題をそれぞれ100試行行わせた。実験参加者は全て阪神ファンであった。選好結果をもとに顔特徴を巨人/阪神ファン顔らしさに変換する内的な効用関数の推定を行った。ガウス過程選好学習はガウス過程回帰にThurstoneモデルを組み込んだ手法である。すべての参加者の結果を平均した平均巨人/阪神ファン顔らしさ関数をそれぞれ算出し,これらの関数が最大値となった潜在表現から,阪神ファンが考える巨人・阪神ファンの顔を合成しその顔特徴と比較した。
著者
趙 丹寧 駒村 樹里 真崎 昌子 茶山 裕 山本 陽一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PS-006, 2021 (Released:2022-03-30)

本研究は女性の改姓時の気持ちおよび有職者の特徴,さらに改姓時の気持ちが現在の夫婦別姓賛成態度への影響を検討する。2015年7月から8月まで,結婚時に改姓した女性を対象に質問紙調査を行い,325名の有効回答を得た。改姓時の気持ち,平等的な性役割態度,現在の夫婦別姓賛成態度を尋ねた。因子分析により,改姓時の気持ちは「旧姓への未練と喪失感」,「新姓の自分らしくない感覚」,「新姓の一体感と喜び」の3因子からなることが確認された。有職者は,「旧姓への未練と喪失感」では無職者と有意差がなかったが,「新姓の自分らしくない感」は高く,「新姓の一体感と喜び」は低く,改姓により大きい負担を受けたことが推察される。ロジスティク回帰分析の結果,「旧姓への未練と喪失感」は影響を及ぼしていなかったが,「新姓の自分らしくない感」は現在の夫婦別姓賛成態度を高めており,改姓時の戸惑いが夫婦同姓への否定的な態度を形成する可能性が考えられる。一方,新姓の一体感と喜びは現在の夫婦別姓賛成態度を低めており,改姓時の喜びは夫婦同姓への肯定的態度を形成する可能性が考えられ,改姓伝統の維持要因になり得ることも考えられる。
著者
尾崎 由佳
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PA-004, 2021 (Released:2022-03-30)
被引用文献数
1

経験サンプリング法(ESM)とは,一日数回×数日間にわたって繰り返し自己報告を求めるという調査手法である。スマートフォンの普及にともないESMの実施が容易になったことから,近年,大きな注目を集めている。exkumaは,ESMのために開発されたソフトウェアである。通信アプリLINEを通じたシグナリング(回答タイミングの通知)と,Webブラウザで回答データ収集を行うという特徴を持つ。本研究では,exkumaを用いてESM調査を実施し,シグナリングの効果検証を行った。調査1には大学生306名が参加した。4回×5日間にわたるシグナリングに対して,有効回答は81 %と高い回答率が得られた。調査2には国内の20歳~69歳の成人145名が参加し,4回×7日間のシグナリングに対して90 %の有効回答が得られた。また,調査1・2に共通して,調査時間帯(9時~21時)内にシグナル送信時刻が均等に分布しており,従来の疑似ランダムによる方法よりも適切に無作為化されたシグナリングが行われていることを確認できた。これらの結果はいずれも,exkumaによるシグナリングの有効性を示唆している。
著者
横井 良典 中谷内 一也
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-022, 2021 (Released:2022-03-30)

近年,「人工知能(AI)が人間の仕事を奪う」,「AIが人間を打ち負かす」といったことが議論されている。人間がAIに競争で負けとき,その敗因をどう推察するのかという原因帰属が検討されなければならない。なぜなら,原因帰属は将来の取り組み,感情,自尊心といった多くの変数に影響するからである。AIに負けたときの原因帰属を検討するために,大学生74名を対象に実験室実験を行った。AIと戦うAI条件,人間と戦う人間条件を設けたが,条件に関わらず,参加者はAIと対戦した。人間条件の参加者は事前に「別の参加者と戦います」と教示された。競争課題として,棒取りゲームというオリジナルの課題を使った。このゲームでは,参加者は必ず負けるように仕組まれていた。ゲーム終了後,参加者が敗因をどこに帰属しているのかを測定した。また,同じ相手に再挑戦したいかどうかを行動反応として選択させた。分析の結果,AI条件,人間条件に関わらず,参加者は自身の能力が最も大きな敗因であると帰属していた。再挑戦の選択に関しては,AI条件,人間条件ともに,再挑戦したい参加者の割合は少なかった。
著者
豊田 さくら 石川 健介
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PD-030, 2021 (Released:2022-03-30)

本研究の目的は,猫動画・画像を視聴することによるストレス緩和効果,気分状態改善効果について検討することであった。「猫動画の視聴(動画群)」,「猫画像の視聴(画像群)」,「安静状態の保持(統制群)」の3つの視聴条件を設定した。動画群では猫の動画が提示され,画像群では猫の画像が提示された。統制群では,猫動画も猫動画も提示をしなかった。3(群)×2(測定段階)の分散分析を行った。測定段階の主効果は,全て群において「緊張」と「怒り」と「疲労」の得点で有意であった。群の主効果および群と測定段階の交互作用は,全ての項目で有意でなかった。以上より,全ての視聴条件によって「緊張」「怒り」「疲労」の気分の状態が変化したことがわかる。しかし,猫動画・画像を視聴することによって得られる特別な効果は示されなかったといえる。
著者
黒田 起吏 高橋 茉優 亀田 達也
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-001, 2021 (Released:2022-03-30)

メンバー全員が集団意思決定に参加(投票)する場合,多数決は高い正答率をもたらす。しかし,投票がコストを伴い,そのため投票しない誘因がある場合でも,集合知が成立するかは不明である。本研究では「能力に自信がある人は,投票せずに個人として意思決定したほうが利益が見込めるため多数決に参加しない」と予測し,実験室実験を行った。参加者は知覚課題に取り組み,個人として回答するか,投票して多数決に従うかを選んだ。また,実験結果をもとにシミュレーションを行い,メンバー全員が投票した場合の多数決精度を計算した。分析の結果,自信のない参加者ほど投票しやすいことがわかった。この投票バイアスの結果,本実験での多数決は,全員が投票した場合(シミュレーション結果)よりも一貫して劣っていた。また,課題が難しい場合,投票する人数が多いとむしろ正答率は下がった。個人の自発的な選択から生じる投票バイアスに対して多数決が脆弱である可能性を,本研究は示唆している。
著者
国里 愛彦 小杉 考司
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.TWS-012, 2021 (Released:2022-03-30)

再現可能性を高める上では,データから論文までをシームレスに接続して研究を行うことが推奨される。それによって,データの前処理から統計解析への移行時のミス,解析結果を論文内に記載する際のミスを防ぐことができ,研究の再現可能性を高めることができる。これを可能にするソフトウェアとしてR Markdownがあり,主要な学術雑誌のテンプレートが用意されている。国際誌の場合は既存のテンプレートを活用して論文執筆ができるが,国内誌の場合は日本語の処理や引用文献処理の問題もあり,適切なテンプレートが存在しない。そこで,我々は『心理学研究』などの国内誌に対応したjpaRmdパッケージを開発した。jpaRmdパッケージを使うことで,データの前処理,統計解析,論文執筆を1つのソフトウェア内でシームレスに扱うことができる。また,jpaRmdは投稿規定に沿った出力ができるので,フォーマット調整にかける労力を減らし,論文執筆に注力できる。本チュートリアルでは,各種ソフトウェアの導入からスタートし,再現性を高めるフォルダ構造の設定,そして実際にjpaRmdを使って論文執筆ができるようになることを目指す。
著者
中川 威 安元 佐織 樺山 舞 松田 謙一 権藤 恭之 神出 計 池邉 一典
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PR-013, 2021 (Released:2022-03-30)

疲労感は加齢の兆候として知られる。睡眠不足は疲労感を生じさせるが,過眠と疲労感の関連は明らかではない。そこで本研究では,地域在住高齢者を対象に日誌調査を行い,今夜の睡眠と翌日の疲労感の関連を検討した。ベースラインで,年齢,性別,居住形態,精神的健康,身体的健康を尋ねた。7日間にわたり,起床後に,就寝時刻,起床時刻,睡眠の質を,就寝前に,1日に経験した疲労感,ポジティブ感情,ネガティブ感情を尋ねた。分析対象者は1日以上回答した58名(年齢82-86歳;女性37.9 %)である。調査参加者は,朝に平均6.8回(SD=1.0),晩に平均6.9回(SD=0.7)回答した。睡眠時間は平均8.0時間(SD=1.0)で,2.0時間少ない日も2.4時間多い日もあった。マルチレベルモデルを推定した結果,個人間レベルでは,睡眠時間が多い人と少ない人では,疲労感に差は認められなかった。個人内レベルでは,睡眠時間の二乗項と疲労感の関連が統計的に有意であり,睡眠時間が少ない日と多い日では,平均的な日に比べ,疲労感が高い傾向が示された。高齢者では,睡眠不足に加えて過眠もまた疲労感を生じさせることが示唆された。
著者
川人 潤子 岡久 玲子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PD-111, 2021 (Released:2022-03-30)

問題:本研究は,テキストデータから,体型による成人女性の自己認知の違いを比較検討する。方法:282名の成人女性(平均年齢52.97歳)を対象に調査した。調査項目は,年齢,身長,体重,自己認知を測定する特性語分類課題であった。結果:やせ(BMI≤18.5)32名,標準体型(18.5≤BMI<25.0)199名,肥満(25.0≤BMI)51名に分類し,特性語分類課題の記述を比較した。“協力的な”は,やせ43.7 %,標準64.8 %,肥満58.8 %であり,“陽気な”は,やせ43.7 %,標準58.2 %,肥満56.8 %と,標準と肥満で多い。一方で“心配性の”は,やせ50.0 %,標準40.2 %,肥満50.9 %とやせや肥満に多い。また,“社交的な”は,やせ25.0 %,標準37.1 %,肥満50.9 %と肥満に多かった。考察:Blaine & Johnson(2005)と同様,肥満の者は社交的な自己認知が認められたが,やせと肥満で心配性の自己認知が高かった。アジア人には極端なBMI値の者は少ないが,今後ネガティブな自己認知と食行動との関連の精査が必要であろう。
著者
鈴木 千晴 中山 満子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-148, 2021 (Released:2022-03-30)

ソーシャルメディアは近年ますます発展を続け,SNSをはじめ,オンラインゲームや動画配信アプリなど,新たなサービスが生み出され続けている。ソーシャルメディアを通じた見知らぬ人との手軽なコミュニケーションには,様々なメリットがある一方で,犯罪やトラブルに巻き込まれる危険も孕んでいる。自己情報の公開や誹謗中傷等のトラブルに関するリスクを扱った研究に比べ,見知らぬ人との出会いや交流に焦点を当てた研究は少ない。ネット上の見知らぬ人との交流手段が増え続けている現状において,青年期女性のネット上の他者との交流行動の実態を明らかにすることは重要であるといえる。本研究は女子大学生を対象に,ソーシャルメディアを通じた見知らぬ人との交流行動の内容と,ソーシャルメディア利用に関するリスク・メリットの知覚について尋ね,見知らぬ人との交流行動に関わる要因について検討した。
著者
中島 香澄
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PD-073, 2021 (Released:2022-03-30)

本研究では内受容感覚と自己意識との関連性について検討した。内受容感覚は抑うつ,摂食障害などの感情関連の臨床群と関連がある(Murphy, Catmur, & Bird, 2018)ことから,養育者からの負情動・身体感覚否定経験(以下,否定経験)が感情制御の発達不全を生じるというモデル(福泉・大河原,2013)を参考に,否定経験からの影響も検討した。対象者は18~29歳までの男女300名(女性209名,男性91名)で,①MAIA-J(内受容感覚に関する尺度)の「身体への気づき」「注意制御」「感情への気づき」,②改訂版自己意識尺度(金子,2017;私的自己意識,公私的自己意識,外見への意識,行動スタイルへの意識),③負情動・身体感覚否定経験認識質問紙(大河原・猪飼・福泉,2013)からなる質問紙調査を行った。自己意識を目的変数,内受容感覚,否定経験,内受容感覚と否定経験の交互作用を説明変数として階層的重回帰分析を行った結果,男女ともに「私的自己意識」「公私的自己意識」において,内受容感覚(身体への気づき,注意制御・感情への気づき)や内受容感覚と否定経験の交互作用からの関連が有意に認められた。
著者
本多 樹 小林 亮太 中尾 敬
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PM-027, 2021 (Released:2022-03-30)

身体内の生理状態に対する感覚のことを内受容感覚という。自身の内受容感覚にどの程度気づくことができると思うか(内受容感覚の気づき)や,正確に検出することができるか(内受容感覚の鋭敏さ)には個人差があることが知られており,この2つの個人差には関連がないことが報告されている。発表者らは内受容感覚の気づきを測定する尺度として日本語版BPQ-BA超短縮版を作成したが,内受容感覚の鋭敏さとの関連は未検討である。内受容感覚の気づきや鋭敏さには文化差があることが示されているため,本邦におけるこれら2つの指標間の関連は,海外における報告とは異なる可能性がある。そこで,日本人の大学生62名を対象に検討を行った。参加者は日本語版BPQ-BA超短縮版への回答と,内受容感覚の鋭敏さを測定する2つの課題(心拍カウント課題,心拍弁別課題)を実施した。その結果,心拍弁別課題の成績との関連においては弱い正の関連がある傾向が認められたものの(心拍カウント課題 rho=-0.07 p=.61;心拍弁別課題 rho=0.22, p<.10),内受容感覚の2つの指標間には関連がないという海外の報告と概ね一致した結果が認められた。
著者
菊池 聡
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PC-145, 2021 (Released:2022-03-30)

超常信奉の成立についての解釈として「理解の及ばない事象に遭遇した時,熟慮して時間をかけて科学的に解明するよりも,現代の科学を超えた超常原理によって,手っ取り早く納得できる意味づけを見いだす」という言説が,一般にしばしば見られる。これは超常信奉が直観的処理スタイルや曖昧さへの不寛容などの非熟慮的・非自制的な認知特性と関連するという報告と符合する。その点で,超常信奉は,短期的な解決を受け入れて,将来の解決の価値を低く見つもる時間割引(time discounting)と関連することが予想される。一方で欧米の研究では,宗教的信仰心の特徴として即時的な報酬を断ち切って未来の価値を待つ能力も指摘されている。本研究では,大学生108名を対象として異時点間での報酬選択による時間割引課題を実施し,超常信奉および疑似科学信奉尺度,批判的的思考尺度の関連性を分析した。重回帰分析の結果,疑似科学信奉態度とスピリチュアル信奉態度は時間割引率と正の関連性があり,信奉者が将来の価値をより割り引くことが明らかとなった。これは不可解な現象の解釈におけるセルフコントロールの弱さが超常原理の受容と関連すると解釈できる