文献一覧: 八木敦子 (著者)

1 0 0 0 ピロリ菌検査の現状と今後の動向

著者: 渡辺隆行大城貞次守田昌美八木敦子今井厚寺島茂高野靖悟
出版者: 一般社団法人日本農村医学会
雑誌: 日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日: vol.58, pp.104, 2009

〈はじめに〉わが国のHelicobacter pylori(以下H. ピロ リ)感染者は推定5,000万人とも言われている。H. ピロリ は胃炎や胃十二指腸潰瘍の主な原因として,さらに胃癌と の関わりも注目されている。当院では2005年よりH. ピロ リ感染診断と除菌判定法の検査として尿素呼気試験,2008 年4月より尿中H. ピロリ抗体検査を行っている。尿素呼 気試験は非侵襲的,簡便で感度,特異度ともに高く,尿素 呼気試験陰性の場合は除菌成功の信頼性は高い。 〈目的〉H. ピロリ検査の現状を把握し,スクリーニング 検査として人間ドックに新規検査項目としての導入効果が あるか検討した。 〈方法〉2008年2月から2009年1月までの1年間における 尿素呼気試験440件の陽性率,年代別検査依頼数と陽性 率,尿中H. ピロリ抗体の陽性率と尿素呼気試験陽性患者 の除菌治療後の除菌成功率について検討した。 〈結果〉尿素呼気試験陽性率は27%であった。年代別検査 依頼数と陽性率を比較すると,30代では42件で38%,40代 では66件で23%,50代では105件で23%,60代では151件で 26%,70代では58件で33%,80代以上では14件で29%で あった。尿中H. ピロリ抗体の陽性率は58%であった。陽 性患者の除菌治療後の除菌成功率は85%であった。 〈考察〉尿素呼気試験陽性患者の除菌治療後の除菌失敗率 は15%であった。薬剤耐性菌の存在も確認されたとの報告 もあり,1回の除菌だけでは効果がない場合も考えられ る。尿素呼気試験と尿中H. ピロリ抗体との陽性率の比較 では,尿素呼気試験の陽性率が低くなったことからも,今 後,人間ドックのスクリーニング検査としては,検体採取 が容易で迅速に結果報告が可能な尿中H. ピロリ抗体を行 い,除菌後は尿素呼気試験でH. ピロリの有無を評価する 方法を提案していきたい。

2019-02-03 07:03:20
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