著者
八木 朝子
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-11, 2016-01-25 (Released:2016-03-10)
参考文献数
18

睡眠ポリグラフ検査(PSG)とは,脳波,顎筋電図,眼球運動,気流,呼吸運動,動脈血酸素飽和度,心電図,前脛骨筋筋電図などを終夜にわたり同時に記録する。睡眠と覚醒の区別,睡眠の質と量を評価し,睡眠を妨げる睡眠時無呼吸,周期性四肢運動障害,ナルコレプシー,てんかん発作やレム睡眠行動障害などの同定と重症度評価が可能な検査である。睡眠ポリグラフ検査(PSG)の有用性を活かすためには,映像や音声を同時に記録し,専任の臨床検査技師によるモニタリング(監視)下で行うことが求められる。しかしながら装置や設備コストや人件費がかかり,また技師の教育や技能の習得に時間がかかることもあり,実施できる施設は限られている。睡眠ポリグラフ検査(PSG)の判定結果は,各種睡眠障害の診断に直接的に寄与するため,これらを担う臨床検査技師の職務は重責である。適正かつ安全に実施し,正確に判定する能力が求められる。本稿では,睡眠ポリグラフ検査(PSG)の標準的な測定および判定について,そして我が国における普及状況について述べる。