- 著者
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飯田 拓
山際 健太郎
八木 眞太郎
藤井 幸治
濱田 賢司
水野 修吾
田端 正己
横井 一
伊佐地 秀司
上本 伸二
- 出版者
- 一般社団法人日本消化器外科学会
- 雑誌
- 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.2, pp.106-111, 2003-02-01
- 参考文献数
- 19
- 被引用文献数
-
4
症例は30歳の女性.1991年頃より心窩部痛が出現,腹部超音波・CTにて肝外側区域に約3.5cm大の嚢胞性病変を指摘された.1996年には肝病変は11cm大に増大し,塩酸ミノサイクリン局注療法を施行された.1998年のCTにて再度6.5cm大に増大,嚢胞壁の肥厚および嚢胞内隔壁が出現したため,肝嚢胞腺腫または嚢胞腺癌と診断,肝外側区域切除術を施行した.摘出標本は7.5×6×4cm大の多房性病変で,組織学的には上皮細胞に悪性所見なく,嚢胞壁は紡錘状の卵巣様間質細胞で構成されており,hepatobiliary cystadenoma with mesenchymal stroma(CMS)と診断された.検索しえたCMS本邦報告例は13例で全例女性であった.自験例では卵巣様間質細胞は免疫化学染色でER・PgR陽性であった.CMSは予後良好とされるが,malignant potentialを有する前癌病変であり,癌化例も認めることから積極的な外科的切除が必要と考えられた.