著者
八木 龍平 林 吉郎
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学 (ISSN:13495178)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-15, 2006

本研究の目的は、林(1999, 2001)が提唱した6眼モデルの主体眼・客体眼マインドセットを測定する心理テストを開発し、その信頼性と妥当性を検証することである。まず異文化体験の豊富な13名が行ったブレーン・ストーミングの結果を基に、我々は129項目の質問項目候補を作成した。そして異文化コミュニケーション専門家グループが個々の項目内容を精査した結果に基づいて、我々は40項目から成る暫定版テストを作成した。暫定版テストを656名に実施して因子分析を行った結果、自己準拠性尺度6項目(a=.73)、自己主張性尺度3項目(a=.62)、客体依存性尺度3項目(a=.64)、グループ準拠性尺度6項目(a=.70)、主体境界柔軟性尺度6項目(a=.70)から成る5下位尺度24項目の主体・客体準拠性および主体・客体境界管理テストが構成された。本テスト及び類似する他の尺度を293名に実施し、相関分析を行った結果、本テストは構成概念妥当性と再検査信頼性があることを確認した。
著者
八木 龍平
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学 (ISSN:13495178)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.37-52, 2014 (Released:2017-03-28)

本研究では、地域の社会的で主観的な豊かさを測定する社会的展望資本尺度を開発し、その信頼性と妥当性を検証した。本尺度の開発を通して、住民の幸福感や生活満足につながる地域性とは何かを検討した。まず構成概念として、時間的展望概念を応用した社会的展望資本を定義した。そして、まちの暮らしをテーマに老若男女17名にインタビューを行ない、その結果をもとに98項目の暫定版を作成した。暫定版を1392名に実施して因子分析を行った結果、まちの暮らしやすさ尺度13項目(α = .92)、地域参画尺度13項目(α =.92)、変化・成長エネルギー尺度11項目(α = .90)、地域の絆尺度10項目(α = .93)、友人ネットワーク尺度8項目(α = .86)から成る5下位尺度55項目の信頼性ある社会的展望資本尺度が構成された。本尺度と、幸福度を問う質問および現在の充実感尺度との相関分析を行った結果、5下位尺度全てが両者と正の相関関係にあり、住民の幸福につながる地域性であることを確認した。