著者
宮本 尚幸 八角 高裕
出版者
一般社団法人 日本小児リウマチ学会
雑誌
小児リウマチ (ISSN:24351105)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.32-40, 2022 (Released:2022-02-17)
参考文献数
63

インターフェロノパチーは「持続的なⅠ型インターフェロン(IFN)の過剰産生を中心病態とするメ ンデル遺伝性疾患」と定義される自己炎症性疾患の概念である.その病態の研究から,自己由来 の核酸代謝の異常,IFN産生シグナル経路に関わる分子の機能亢進,IFN抑制経路に関わる分子の 機能低下,プロテアソーム機能不全などがⅠ型IFNの過剰産生につながることが解明されてきた. また,SLE(systemic lupus erythematosus)や皮膚筋炎などの自己免疫性疾患でもⅠ型IFN活性が 亢進していることが多く,近年これらの疾患の病態や治療標的としてⅠ型IFNが注目されている. インターフェロノパチーのなかにはSLEなどの自己免疫性疾患と類似した臨床像を呈する疾患が あり,これらの疾患では共通もしくは類似した分子機序によりⅠ型IFNの過剰産生がおこっている. 本稿ではインターフェロノパチーとSLEを中心とした自己免疫性疾患の病態において共通するⅠ 型IFNの過剰産生の分子機序について最新の知見を踏まえ概説する.