著者
大澤 早苗 内山 久美 横山 孝子
出版者
熊本保健科学大学
雑誌
保健科学研究誌 (ISSN:13487043)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.69-78, 2005-03-15
被引用文献数
1

看護は,多様な背景を持つ人間の生活に関わり直接的に人間と人間の関係そのものを主体とする職業である。しかし,今日の看護学生の対人関係能力はきわめて低い傾向にあるといわれている。そこで,看護教育における職業的発達の取り組みへの示唆を得るため,卒業前の学生を対象に意識調査を実施し,それを「看護識者の醸し出す雰囲気や姿勢」として定義されたPLCを指標に検証した結果,以下のことが分かった。学生が専門職者としての人間的資質として求めたものは,<思いやり><やさしさ>などで構成される【親近感】【第一印象】のカテゴリーであった。学生は患者-看護師の二者関係が成立する最も基本的な視座を提えることができていた。看護における職業的社会化にとって必要なこととして,専門職業人としての人間的資質を獲得できるよう,リフレクティブシンキングができる環境を整え段階的に支援する教育システムの重要性と今後の縦断的研究の必要性が示唆された。