著者
山西 友典 布施 美樹 内山 智之 柴田 千晴
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.11-16, 2014 (Released:2017-05-11)
参考文献数
14

排尿障害 (下部尿路機能障害) には, 蓄尿障害と排尿 (排出) 障害があり, それぞれ膀胱 (排尿筋) 機能障害と尿道 (括約筋) 機能障害に分けられる. 蓄尿障害に対する治療の目的は, 膀胱機能に対しては排尿筋収縮を減弱する (膀胱知覚を抑制する) ことであり, 尿道機能に対しては, 尿道平滑筋, あるいは横紋筋の収縮性を増強することである. 保存療法の行動療法には, 生活指導, 膀胱訓練, 理学療法がある. この理学療法の新しい治療法として, 磁気刺激療法がある. これは尿道括約筋 (骨盤底筋) の収縮性を増強することにより腹圧性尿失禁に, 膀胱の収縮を抑制することにより排尿筋過活動に有効である. 薬物療法としては, 過活動膀胱に対しては, これまで抗コリン薬が主流であった. 新しい抗コリン薬としてフェソテロジンが発売され, また副作用軽減を目的にオキシブチニン経皮吸収型製剤 (ネオキシテープ) が発売された. また新しい機序の薬物療法として2011年にβ3-アドレナリン受容体刺激薬 (ミラベグロン) が発売された. その他の新しい薬物として, ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法などが開発されているが, いまだ日本での適応は認められていない.