著者
小林 由実 内方 文朗 上田 善博 加藤 邦人 小川 宣子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.207, 2014 (Released:2014-07-10)

目的 おいしい天ぷらとは素材のうまみが保持され、さくさくとした衣に覆われているものと評価できる。天ぷらに使用する食材は、澱粉性食品のさつまいも、タンパク質食品の魚介類、野菜類など多種にわたるため、それぞれの素材のうまみが生かすための揚げ方について温度や時間などから検討されている。一方、家庭では、温度計に頼らず、視覚的に判断を行っている。そこで本研究では、160℃,180℃,200℃と異なる温度で食材を揚げ、その時の油の表面の様子を定量化するとともに、揚げ終わった時の衣の評価を水分含量、物性、画像処理から測定し、調理中の様子から天ぷらの出来上がりを推定することとした。 方法 1)試料:さつまいもを用い、衣(薄力粉:卵水=30:50g)をつけ、油(160℃,180℃,200℃)で4分(加熱2分後裏返す)加熱した。2)測定項目①調理中の変化:油面の様子を高速度カメラで撮影し、調理中に発生した気泡や波によるゆらぎをcontrastの時系列変化から調べた。②調理後の変化:衣の水分含量、物性を破断解析、凹凸の程度を画像処理によるcontrastから評価した。 結果 ①調理中の変化:160℃で調理した場合は油面のゆらぎは少なく、180℃は投入直後と20秒後で大きくゆらぎ、200℃は投入直後から非常に大きかった。②調理後の変化:油の温度が高くなるにつれ水分含量は少なく、破断応力は大きく、衣の凹凸は160℃は少なく平坦であり、180℃は全体に存在し、200℃はむらがあった。調理中の油面の様子が衣の形状に影響を与えると考える。