著者
岡島 俊英 五十嵐 雅之 江口 陽子 内海 龍太郎
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.416-427, 2019-07-01 (Released:2020-07-01)
参考文献数
79
被引用文献数
1

抗菌薬は病原菌による感染症の治療になくてはならない薬剤であるが,各抗菌薬に対する多剤耐性細菌の出現に加え,近年,腸内細菌叢(マイクロビオーム)に及ぼす2次的な健康被害(免疫疾患など)が報告されている.これらの欠点を克服した次世代型抗菌薬の一つとして,病原菌の情報伝達(two-component signal transduction: TCS)を標的にしたヒスチジンキナーゼ阻害剤の開発が期待されている.本稿では,ヒスチジンキナーゼ阻害剤の開発の現状と重要性を解説する.
著者
内海 龍太郎
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

細菌は環境変化を迅速に感知する多様な膜センサーを介して、環境適応に必要な遺伝子の発現を制御し、多様な環境変化に迅速に適応するシステム(TCS, two component signal transduction)を有している。細菌細胞は、1細胞に何十というTCS回路を持っていることが知られている。さらに、各TCS回路は互いに連結して、さらに複雑な遺伝子発現制御ネットワークを形成している。本研究では、世界で初めて、大腸菌K-12のTCS EvgS/EvgAとPhoQ/PhoPに着目して、それらの2種のTCS間をつなぐ、コネクターの働きを明らかにし、環境変化に迅速に適応できる細菌の情報伝達ネットワークの分子機構を明らかにした。