- 著者
-
内田 佳那
丹治 敬之
- 出版者
- 一般社団法人 日本LD学会
- 雑誌
- LD研究 (ISSN:13465716)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.1, pp.73-84, 2021 (Released:2021-10-08)
- 参考文献数
- 21
本研究は,ICTの音声読み上げ機能の活用が,学習障害児の文章読解成績と自律的な家庭学習にもたらす効果を検証した。参加児は,特別支援学級に在籍し,自律的に家庭学習を行うことが難しい小学3年生の学習障害児であった。反転(ABAB)デザインを用いて,紙教材による条件(ベースライン期)と,教材作成アプリケーション「OMELET」を用いた音声読み上げ支援条件(ICT介入期)の間で,参加児の読解成績と保護者に代読を依頼する頻度を比較した。その結果,ICT介入期において,参加児の読解成績の向上と,保護者に代読を依頼する頻度の減少が認められた。さらに,参加児の行動観察からは,ICT機器の使用を喜ぶ姿や,音声読み上げ機能の利点を発言する姿がみられた。本研究の結果から,音声読み上げ機能の活用が学習障害児の読解成績の向上と自律的な家庭学習を促す効果が示された。