著者
内田 又左衛門 笠井 勉
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.553-558, 1980-11-20

殺菌剤ジアルキルジチオールアニリデンマロナート類の大阪(河内長野)土壌に対する25℃での吸着定数(K)は, メチル体の2.7からへプチル体の605まで変化した.アルキル鎖が長くなるにつれて, Kの値が増加した.そして, log K値は疎水性パラメータであるlog P(Pは1-オクタノール・水系での分配係数)と非常によく相関するので, これらの化合物の土壌への吸着過程は, 疎水的相互作用といえよう.土壌カラム中でのこれら化合物の移行性もアルキル鎖の変化に伴い, 規則的に増減した.そして, 土壌への吸着定数との間には, 非常に良好な負の相関性がみられ, 吸着性の著しい化合物の移行性は低かった.
著者
内田 又左衛門 小川 邦彦 杉本 達芳 相澤 宏保
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.537-544, 1983-11-20

水面施用した[aniline環-^<14>C]flutolanilはイネによく吸収され, 27日後に葉身中の放射能は最高濃度(93.7 ppm ^<14>C-flutolanil相当)に達した.その後, 緩やかに減少し, 81日後では83.0 ppm相当となった.玄米中への移行はわずか(0.5ppm相当)であった.イネにおける代謝は比較的速く, 9日目以降の葉身中放射能は大半が抽出性あるいは結合性の代謝物に帰属できた.イネからは, 4′-hydroxy-3′-isopropoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide (2), 3′-(hydroxymethyl) ethoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide(3), 3′-hydroxy-2-(trifluoromethyl)-benzanilide(4), 4′-hydroxy-3′-methoxy-2-(trifluoromethyl)benzanilide(6), 3′-methoxy-2-(trifluoromethyl)-benzanilide (7)および2, 3, 4, 6の抱合体が得られた.キュウリの葉面に塗布した^<14>C-flutolanilは13日後でも70%以上が表面から回収された.しかし, わずかながらイネと同じ代謝物が検出できた.