著者
内田 盛也
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.685-701, 1993

ご紹介にあずかりました内田でございます。本日は紙パルプ技術協会のこういう大会にお招きを頂き, 大変光栄に存じております。今日お話ししたいと思いますのは「国際的にみた企業の知的戦略」という題目でございますが, ご承知の通り, ただ今は大変な世界の変動期にあります。戦後懸命に日本の産業を大きくされてきた皆さん方は, 何となく今後の将来について戸惑いがおありになるのではないか。いったい今後どういうことになるのであろうか。私どもが大学を出て産業界に入りました時は, アメリカの国力の 1/30 でありました。現在, アメリカに匹敵するような大国になっております。ということは, 戦後我々がやってきたような方法で懸命に働いてこのままいきますと, 世界全体が日本になってしまうという事で, ご承知の通りいろんな摩擦問題等が出て来ております。<BR>それから, もう一つは小国日本が世界的な観点から色々な期待をされております。所が日本人の意識構造には全くそのような観点がありません。歴史的に見てヨーロッパなどでは学問が出きて, 宗教の中に育てられて, そういう形の中で伝統的に国際社会の自分達という意識構造, 社会構造というシステムが出来上がっておりますが, 日本はたった 30, 40 年の間にそうなったという事でこれからという所であります。こういう問題と同時に, 経営環境をどうしたら良いかといろんな意味の戸惑いがあると思いますので, 今後の大きな戦略的なものの中から少しでも皆様方の参考になればと思って, このような題目でお話をしてみたいと思うわけであります。