著者
菅野 和久 徳永 賢治 越智 正昭 宍野 宏治 村瀬 光春 佐伯 修一 武内 望 篠原 力雄 石黒 伊三雄
出版者
一般社団法人 日本臨床化学会
雑誌
臨床化学 (ISSN:03705633)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.168-172, 1993-09-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
12
被引用文献数
3

糖尿病患者における合併症や易感染性の原因とその機序を解明する目的でphorbo-myristateacetate刺激時 (PMA) およびオプソニン化チモーザン刺激時 (OZ) の好中球活性酸素産生能を測定し, さらに血中糖化タンパク (HbA1c, フルクトサミン) 濃度との関連性を調べた。糖尿病患者はPMA, OZ両者ともに健常人と比較して好中球活性酸素産生能の低下傾向を示し, PMAではp<0.01で有意に低下した。また血中糖化タンパク濃度との相関性は認められなかったが, 空腹時血糖値とは負の相関性 (r=-0.500, p<0.05) を認めた。健常人血液へのグルコース添加実験で好中球活性酸素産生能は20から50mmol/lまでは有意 (p<0.05) に低下傾向を示した。以上より, 好中球活性産生能は高血糖状態を示す糖尿病患者で低下しており, 好中球機能障害の要因となることが示唆された。このことは, 糖尿病患者好中球に存在するreduced nicotinamide adenine dinucleotide phosphate (NADPH) の減少が原因と考察した。
著者
岡島 正純 佐伯 修二
出版者
日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.745-750, 2011 (Released:2012-01-30)
参考文献数
14
被引用文献数
2

要旨:見えない傷の手術とも呼ばれる単孔式内視鏡手術は,その名の通り,術創が臍の中に隠れてしまうため,整容性に優れた手術である.一方で従来の腹腔鏡手術の基本的なトロッカー配置を崩しており,手技が困難であることは否めないが,胆嚢摘出術を単孔式で行ってみると,技術的に不可能ではなく,むしろ実地臨床で行うことができることがわかった.このような経緯から,その症例数は着実に増加している.今後は単孔式内視鏡手術研究会などの活動を通じて,より安全,確実な手技と機器,器具の開発が望まれる.また,整容面だけではない本術式の利点についての研究も今後の大きな課題であろう.
著者
佐伯 修 佐久間 一浩 大本 亨 岩瀬 則夫 小林 真人 山本 稔 安藤 良文 高山 晴子 高瀬 将道 山本 卓宏 高田 敏恵 奥間 智弘
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

多様体間の可微分写像に現れる特異点を大域的観点から研究し,その特異点と多様体の微分位相幾何学的性質について種々の新しい知見を得た.たとえば,多くの位相的4次元多様体の上には無数の可微分構造があることが知られているが,そのうちで特異点が簡単な写像を許容する可微分構造は一意的であることが示された.またそうした大域的研究が特異点の局所的研究に役立つ例も発見した.こうして,写像の特異点や特異ファイバーと,多様体や写像の同境類の間の深い関係を明らかにし,多くの具体的成果を得た.
著者
辻 毅一郎 佐伯 修
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

住宅部門におけるエネルギー利用の高効率化と環境影響低減化のための方策の一つとして居住者に適切なエネルギー消費情報を提供することにより省エネを図ることの有効性について実証的な研究を行った。主な研究成果は以下のとおりである。1)ライフスタイル・住宅の室温維持特性・機器効率といった指標を説明変数とする、暖房用エネルギー需要に関する精度の高い重回帰モデル(自由度調整済み決定係数0.937)を導出した。同モデルを用い、住宅の室温維持特性の向上により、暖房用エネルギー消費を約35%、住宅全体のエネルギー消費を約5.2%削減できる可能性があることを示した。2)電力日負荷曲線生成のためのボトムアップシミュレーションモデルを改良し、より精度の高いものとした。季節依存性のある機器、日射時間に依存する照明に関して日負荷曲線の再現性を高めるとともに、住宅の室温維持特性を組み込むことにより、集合住宅に対しても適用可能なモデルとした。3)居住者に当該世帯の電力需要に関する詳細な情報を提供し、省エネルギー行動を誘起させることを目的としたエネルギー消費情報提供システム(ECOIS I)を構築し、9軒の世帯への設置した。その結果、平均で電力消費量の約9%が削減された。各機器の日負荷曲線ならびに負荷持続曲線により、暖房時室温を下げることや使用暖房機器の変更などの省エネルギー行動が行われたことを明らかにした。4)都市ガス・灯油に関する情報も表示する改良型のECOIS IIを構築し、10件の世帯への設置し、電力が約18%、都市ガスが約9%、世帯全体の暖房用エネルギー消費量が20%削減された。また、テレビ、電気ポット等に関する省エネ行動の内容を明らかにした。以上述べた通り、消費情報の提供により居住者は自ずと学習し、エネルギー消費に関する最適化コントローラとして働きうることが明らかとなった。