著者
内藤 まりこ
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.14-24, 2011-07-10 (Released:2017-05-19)

「和歌」という詩的言語には、「叙景」と呼ばれる表現方法があるとされる。「叙景」の方法は古代にまで遡るとされるが、「叙景」という言葉は明治二〇年代に初めて登場した。本稿では、まず、「叙景」の成立を明らかにし、「叙景」の方法が古典詩歌の解釈の枠組みとなるまでの過程を考察する。次に、中世の「叙景歌」と呼ばれる歌について、「叙景」の枠組みでは捉えきれない歌の構造を、人称を手がかりに解き明かす。
著者
内藤 まりこ
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.14-24, 2011

<p>「和歌」という詩的言語には、「叙景」と呼ばれる表現方法があるとされる。「叙景」の方法は古代にまで遡るとされるが、「叙景」という言葉は明治二〇年代に初めて登場した。本稿では、まず、「叙景」の成立を明らかにし、「叙景」の方法が古典詩歌の解釈の枠組みとなるまでの過程を考察する。次に、中世の「叙景歌」と呼ばれる歌について、「叙景」の枠組みでは捉えきれない歌の構造を、人称を手がかりに解き明かす。</p>
著者
内藤 まりこ
出版者
物語研究会
雑誌
物語研究 (ISSN:13481622)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-13, 2007

In this paper by focusing on a topic, Shiga no yamagoe, the author considers the dynamics of medieval poetry. A striking feature of the poems composed on the set topic Shiga no yamagoe in the Roppyakuban utaawase (1193) is that all of them included the phrase "Flower". Previous researchers have argued that there was a strong connection between Shiga no yamagoe and the phrase "Flower" in medieval poetry, even though the reason for this connection remained uncertain. How then did flowers come to be associated with Shiga no yamagoe? The author begins with discussing what led Shiga no Yamagoe to be linked with the idea of flowers. First, the author examines how Fujiwara no Shunzei, the judge of the Roppyakuban utaawase, supported the notion of combining Shiga no yamagoe with spring flowers in poetry composition. Secondly, the author shows how some poems pair flowers with the idea of female pilgrims traveling to Shiga Temple. The author argues that there were narratives about women pilgrims going to Shiga Temple which supported the relationship between Shiga no yamagoe and women. And the author also shows that the actual pilgrimage to Shiga Temple was no longer practiced by Shunzei's time. The author suggests that the association of Shiga no yamagoe with the idea of flowers developed from narratives of female pilgrims set in the past. In addition, the author focuses on a famous place. or utamakura, Shiga no hanazono, which appeared in medieval times for the first time. The author argues that it was a fictional place, which created whereby the topic Shiga no yamagoe came to be associated with flowers.
著者
内藤 まりこ
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

平成24年度は、アメリカ合衆国ハーバード・イエンチン研究所において一年間在外研究を行った。当該研究所に併設されるハーバード・イエンチン図書館は、所蔵する東アジア地域に関する資料の量と種類の豊富さにおいてアメリカ有数の図書館である。こうした図書館の特性を享受するべく、報告者は滞在中に以下の3つの作業に取り組み、次のような成果を得た。(1)日本の大学及び図書館では入手することの難しい中国、韓国及びベトナム地域の資料調査:イエンチン図書館及びハーバード大学に付属するその他の図書館、ニューヨークのコロンビア大学付属図書館が所蔵する中国、韓国及びベトナム地域で記された資料及びそれらの地域に関する研究書・論文を調査し、〈七夕伝説〉に言及した資料を採集した。こうした調査の結果、当初予想していたよりも遥かに膨大な数の〈七夕伝説〉に言及する資料を見つけ出すことができた。とりわけ、中国大陸の口頭伝承を集めた資料群の調査からは、〈七夕伝説〉が非常に広大な地域において浸透し、現在も人々の生活規範の一つを形成していることが明らかになった。(2)日本の〈七夕伝説〉に関する資料の調査:イエンチン図書館及びハーバード大学付属サックラー美術館が所蔵する江戸期の刊本及び浮世絵の調査から、〈七夕伝説〉を主題とする活字資料及び絵画を見つけることができた。(3)〈七夕伝説〉に関する英語資料の調査:〈七夕伝説〉に関する英語による研究書・論文を収集した。その数はそれほど多くはないが、日本では見つけることのできなかった研究論文を集めることができた。また、1920年代にアメリカで記されたく七夕伝説〉を題材とする戯曲を発見し、アメリカにおける東アジア文化の受容という研究テーマを得ることができた。