著者
冨田 佑一 古関 潤一 龍岡 文夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.197-209, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
13

盛土の設計に三軸圧縮試験を活用する場合,供試体は室内で側方を拘束したモールド内で一様に突き固めて作製される.一方,現場締固め土は剛な振動ローラーを地盤上で走行させるため,各締固め層内で乾燥密度ρdは深さ方向に減少し,また表層が局所的に乱され,非一様である.本研究では大型鋼製土槽内で小型締固め機械を用いて締め固めた砂質土の試験盛土から乱れの少ない供試体を採取し,不飽和状態,湿潤・飽和状態で排水三軸圧縮試験を行い,同一試料を締め固めた室内作製供試体等と比較した.その結果,強度・剛性を,締固めの方法とエネルギーに関わらずρdの増加関数と飽和度Srの減少関数の積を基本に,現場盛土表層のせん断破壊の影響と湿潤化・飽和化による影響を加えた経験式で表現し,最適飽和度状態が適切な現場締固め目標となることを示した.