著者
高橋 浩一 松本 伸 大河内 保彦 龍岡 文夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.777, pp.53-58, 2004-12-20
被引用文献数
4

りんかい線大井町駅部は, 用地上の制約から, シールドトンネルのセグメントの一部を撤去し, 隣接する立坑間を地中開削し, 接合して構築した. この際下部シールドトンネルが, 水圧300kN/m<sup>2</sup>を超える東京礫層に位置するため, 止水対策が最重要視された. 工期上の制限から, 薬液注入工法を採用し, 注入を1次, 2次, 補足注入の三段階とし万全を図るとともに, 注入効果を比抵抗トモグラフィ等で確認した. 確認試験結果は注入の良好性を示し, 補足注入も1次注入の1/10以下であった. さらに, 漏水のリスク低減のためのディープウェルを計画し, 三次元浸透流解析で事前検討を行なった. その結果, 大きな漏水もなく, ウェルの水位低下量, 地表面沈下等も予測と矛盾のない範囲で安全な施工が達成された.
著者
高橋 浩一 松本 伸 大河内 保彦 龍岡 文夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.777, pp.53-58, 2004-12-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
5
被引用文献数
4

りんかい線大井町駅部は, 用地上の制約から, シールドトンネルのセグメントの一部を撤去し, 隣接する立坑間を地中開削し, 接合して構築した. この際下部シールドトンネルが, 水圧300kN/m2を超える東京礫層に位置するため, 止水対策が最重要視された. 工期上の制限から, 薬液注入工法を採用し, 注入を1次, 2次, 補足注入の三段階とし万全を図るとともに, 注入効果を比抵抗トモグラフィ等で確認した. 確認試験結果は注入の良好性を示し, 補足注入も1次注入の1/10以下であった. さらに, 漏水のリスク低減のためのディープウェルを計画し, 三次元浸透流解析で事前検討を行なった. その結果, 大きな漏水もなく, ウェルの水位低下量, 地表面沈下等も予測と矛盾のない範囲で安全な施工が達成された.
著者
龍岡 文夫 平川 大貴 相澤 宏幸 錦織 大樹 相馬 亮一 園田 陽介
出版者
Japan Chapter of International Geosynthetics Society
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.69-76, 2007
被引用文献数
1 4

「RC 竪壁と橋桁を一体化した一体橋梁」と「剛な一体壁面工を段階施工するジオテキスタイル補強土(GRS)の擁壁」を組み合わせた「GRS 一体橋梁」を提案する。室内模型実験を実施して、一体橋梁は経済的・構造的な弱点となる支承部がないが、大気温変動に伴う橋桁の熱伸縮及び地震荷重により壁面工の強制繰返し水平変位が生じ、そのため盛土に過大な沈下と土圧増加が生じることを示した。壁面工下端が自由で壁面工の変位モードが転倒+下端滑動の場合は、壁面工下端がヒンジ支持で壁面工の変位モードが転倒の場合と比べて、土圧の増加量は低減するが壁面工下端が主働方向に押し出されて盛土に主働崩壊が容易に生じて盛土は大きく沈下した。これらの問題は、ジオテキスタイル補強材が剛で一体の壁面工に結合してあるGRS一体橋梁では解決する。
著者
後藤 聰 龍岡 文夫 澁谷 啓 金 有性 佐藤 剛司
出版者
The Japanese Geotechnical Society
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.169-180, 1991-03-15 (Released:2008-02-29)
参考文献数
16
被引用文献数
187 304

A simple device named "local deformation transducer(LDT)" was developed to investigate stiffness of soils that can be measured in the laboratory for strain levels ranging from 10-6 to 10-2. The theoretical consideration into the non-linear, but uniquely determined, relationship between the gauge strain (i.e., output voltage) and the axial strain is first described. The accuracy of the strain measurement using LDT is then discussed based on the theory and the results of calibration tests. The stability of the output voltage was examined for a few days using a dummy. In isotropic consolidation tests performed on a fine clean sand in triaxial cells, the internal axial strains measured using LDT agreed well with those associated with the condition of no bedding error, which were extrapolated from the results of tests using the specimens with various heights. Besides, in plane strain compression, the internal axial strain measured using the LDT was close to that determined by means of a laser speckle method. The capability of the LDT has been demonstrated in triaxial tests in which the variations of Young's modulus of a gravel, a cement-treated sandy soil and a soft rock were successfully measured for the prescribed range of strains as the specimens were subjected to both monotonic and cyclic loadings.
著者
冨田 佑一 古関 潤一 龍岡 文夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.197-209, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
13

盛土の設計に三軸圧縮試験を活用する場合,供試体は室内で側方を拘束したモールド内で一様に突き固めて作製される.一方,現場締固め土は剛な振動ローラーを地盤上で走行させるため,各締固め層内で乾燥密度ρdは深さ方向に減少し,また表層が局所的に乱され,非一様である.本研究では大型鋼製土槽内で小型締固め機械を用いて締め固めた砂質土の試験盛土から乱れの少ない供試体を採取し,不飽和状態,湿潤・飽和状態で排水三軸圧縮試験を行い,同一試料を締め固めた室内作製供試体等と比較した.その結果,強度・剛性を,締固めの方法とエネルギーに関わらずρdの増加関数と飽和度Srの減少関数の積を基本に,現場盛土表層のせん断破壊の影響と湿潤化・飽和化による影響を加えた経験式で表現し,最適飽和度状態が適切な現場締固め目標となることを示した.
著者
井原 壮 菊池 喜昭 野田 翔兵 永井 裕之 龍岡 文夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.22-00253, 2023 (Released:2023-03-20)
参考文献数
19

大粒径土粒子を含む現場盛土材の締固め特性を得るには,現場盛土材を用いた大型締固め試験が必要であるが,その実施には多くの制約がある.このため,大粒径土粒子を除去した試料で室内締固め試験を実施し,得られた乾燥密度をWalker-Holtz式(W&H式)で補正して大粒径土粒子を含む盛土材の締固め密度を推定するのが一般的である.しかし,W&H式の補正方法では除去した土粒子の重量比率が大きくなるほど推定誤差が大きくなる.本研究では,複数の盛土材をせん頭粒度調整により最大粒径を変化させて室内締固め試験を実施した.その結果,W&H式の推定誤差には,細粒分含有率と礫分の粒子形状の影響が大きいことがわかった.また,W&H式を補正して,大粒径土粒子を含む盛土材の締固め密度を予測する方法を提案した.
著者
曽我 大介 陶山 雄介 阪田 暁 龍岡 文夫 西岡 英俊
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.153, 2017 (Released:2019-01-14)
参考文献数
15

九州新幹線(西九州ルート)は,武雄温泉~長崎間の延長約66kmの路線で現在建設中である.その中の原種 架道橋は,諫早市内(武雄温泉起点47km263m付近)における短いトンネルが連続した約70mの谷あい部に位置 するPC桁を用いたGRS一体橋梁である.これまでのGRS一体橋梁においては,RC桁やSRC桁を用いた事例はあ るが,PC桁は初めての採用となる.本論文では,これまでのGRS一体橋梁の採用実績を踏まえ,鉄道構造物で 初めての事例となるPC桁を用いたGRS一体橋梁の設計・施工について報告する.
著者
久保 慶三郎 岡田 恒男 関 松太郎 高梨 晃一 宇田川 邦明 龍岡 文夫 田村 重四郎 柴田 碧 藤田 隆史 半谷 裕彦 後藤 博司 松井 長行 片山 恒雄
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.11, pp.p411-427,図巻頭8p, 1978-11

1. まえがき : 2. 地震の概要, 久保, 慶三郎 : 3. 建築物の被害, 岡田, 恒男関, 松太郎高梨, 晃一宇田川, 邦明 : 4. 土木構造物の被害, 龍岡, 文夫田村, 重四郎 : 5. 産業施設・危険物施設の被害, 柴田, 碧藤田, 隆史 : 6. 福島県における被害の概要, 半谷, 裕彦後藤, 博司松井, 長行 : 7. 都市供給施設の被害と復旧, 片山, 恒雄1978年6月12日午後5時14分頃,牡鹿半島沖約100kmを震央として発生したマグニチュード7.4の宮城県沖地震は,仙台市を中心とする宮城県のほか福島県・岩手県などで土木・建築その他各種の構造物や施設に大きな被害を与えた.この報告は,地震工学に関係する本所の各専問分野の研究者が行った宮城県沖地震の被害調査の結果を速報的にまとめたものである
著者
龍岡 文夫 舘山 勝 平川 大貴 渡辺 健治 清田 隆
出版者
国際ジオシンセティックス学会 日本支部
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.205-210, 2009 (Released:2010-01-22)
参考文献数
11
被引用文献数
4 7

GRS一体橋梁は、従来形式の橋梁を「構造工学の立場から改良した一体橋梁は連続桁とRC竪壁(壁面工)が一体の一体橋梁(Integral bridge)」と「地盤工学の立場から改良したGRS擁壁を橋台とした橋梁」を合体させたものである。GRSは、Geosynthetic-Reinforced Soil(ジオシンセティックス補強土)を意味する。GRS一体橋梁の構造的特徴は、連続桁・壁面工と壁面工背面に定着したジオシンセティックスで補強した盛土の一体化である。支沓の省略と連続桁の使用により建設・維持費が削減される一方、構造的に安定化している。すなわち、竪壁は多層補強材で支持された小支点間距離多支点支持の連続梁であるため構造が簡略化できる。盛土補強により、橋桁の温度収縮膨張に伴う水平繰返し変位による盛土の主働崩壊を防げ残留沈下を極小化し、常時の交通荷重による壁面工背後の盛土の沈下を防ぎ、壁面工は上昇した受働土圧に対して安定を保つ。橋桁・竪壁・補強盛土の全体系が一体構造であるため、耐震性も高い。施工上の特徴は、補強盛土の建設による盛土・支持層の変形が終了した後、剛で一体のRC壁面工を補強盛土と一体化になるように建設し、次に橋桁を壁面工と一体化するようにして建設する、と言う段階施工である。段階施工により、壁面近くの盛土は良く締固まり、壁面工と補強材の相対沈下による損傷を防ぎ、杭基礎の必要性が減じる。
著者
前川 宏一 東畑 郁生 石田 哲也 内村 太郎 牧 剛史 半井 健一郎 龍岡 文夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2003

(1)土粒子間の連結空隙構造をセメント系複合材料の微細空隙構造モデルに導入し,物質平衡-移動-反応-変形解析に関する数値プラットフォームを開発し,拡張熱力学連成解析を土粒子間隙水の圧力と変形にまで連結させて,地震時の構造-地盤液状化解析と,構造中のコンクリートの過渡的な変性を追跡する多階層連結解析コードを完成させた。(2)コンクリートおよび地盤材料の水分保持能力の温度履歴依存性を実証し,過渡応答時の水分平衡モデルの精度を向上させた。大径空隙でブロックされる水分が高温時に急速に開放される状況が解明され,従来の定説を大きく変える契機を得た。セメント硬化体からのカルシウム溶出と自然地盤における吸着平衡モデルを,水和反応の過渡的状態に対して拡張した。(3)水和生成ゲルおよびキャピラリー細孔内の水分状態からセメント硬化体の巨視的な時間依存変形を予測するモデルを完成させ,分子動力学を適用し温度依存性に関するモデル化の高度化を図った。(4)鋼材腐食生成ゲルと周辺コンクリートのひび割れ進展,さらにゲルのひび割れへの浸入を考慮することにより,様々な条件下でのかぶり部コンクリートの寿命推定を可能にした。(5)飽和及び不飽和地盤中にRC群杭を設置した動的実験を実施し,初期振動状態から一気に液状化する厳しい非線形領域での杭と地盤の応答を詳細に分析した。土粒子構成則と多方向固定ひび割れモデルの結合で,地中埋設構造応答をほぼ正確に解析できることを示した。(7)非線形時間依存変形の進行モデルを弾塑性破壊型構成則の一般化で達成し,時間成分を取り除いた繰返し作用の影響度を、数値解析連動型実験から抽出することに成功した。ひび割れ面での応力伝達機構の疲労特性を気中・水中で実施し,高サイクル疲労に対応可能な一般化モデルを構築し,直接積分型高サイクル疲労破壊解析を実現した。
著者
相澤 宏幸 錦織 大樹 平川 大貴 相馬 亮一 園田 陽介 龍岡 文夫
出版者
Japan Chapter of International Geosynthetics Society
雑誌
ジオシンセティックス論文集 (ISSN:13446193)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.77-82, 2007
被引用文献数
1

RC橋台と橋桁を一体化したインテグラル橋梁(一体橋梁)は、経済的・構造的な弱点となる支承部及び伸縮装置がない。一方、大気温変動に伴う橋桁の熱伸縮により壁面工に強制繰返し水平変位が生じて、背面盛土に過大な沈下と土圧増加が生じる。このため、壁面工に構造的損傷が生じる虞が生じ、壁面工下端が前方に押し出される可能性が、あるいは壁面工が杭支持されていれば杭頭部が損傷する虞が出てくる。この問題を解決するために、「壁面工に定着したジオシンセティックス面状補強材で補強した盛土と一体橋梁を組み合わせたGRS一体橋梁(Geosynthetic-Reinforced Soil Integral Bridge; GRS Integral Bridge)」を提案している。室内模型実験を行い、壁面工上端に強制繰返し水平変位を与えた。(1)壁面工下端の水平及び鉛直方向の自由度を高めて壁面工の転倒+下端滑動モードが生じる場合と、(2)強固な杭基礎がある場合を想定して壁面工下端をヒンジ固定して転倒モードが生じる場合を検討した。背面盛土が無補強、あるいは補強しても補強材が壁面工に非定着の場合では、(1)の載荷モードでは、壁面工下端が主働方向に押し出されて盛土に過大な沈下が生じた。(2)の載荷モードでは、盛土の沈下は若干抑制されたが、残留土圧が非常に大きくなり、壁面工及び杭頭部が損傷する可能性が生じた。一方、補強材を壁面工に定着させた場合では、(1)と(2)のモードの何れでも、盛土の残留沈下は殆ど生ぜず、土圧は上昇しても構造系は非常に高い安定性を示した。