著者
下中 雅仁 細木 高志 冨田 因則 安室 喜正
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.623-631, 2002-09-15
被引用文献数
6

電気細胞融合により, ネギ(Allium fistulosum L., 2n=2x=16)とタマネギ(A. cepa L., 2n=2x=16)との種間体細胞雑種を育成した.ネギのプロトプラストからのコロニー形成を阻害するためのヨードアセトアミド(IOA)濃度を明らかにした.IOA処理を行ったネギプロトプラストと分裂能を持たないタマネギプロトプラストを混合し, ヘテロカリオンのみが選択的に発達するための細胞融合法を構築した.その結果, 培養45日目には417個のコロニーが得られ, その内の約80%がカルスへと発達した.325個中の33個(10.1%)のカルスからシュートの発達が認められた.これらの個体の中には奇形を示すものもあったが, 2個体はガラス温室で生育した.細胞遺伝学的およびDNA解析を行った結果, ガラス温室内の個体はネギまたはタマネギの葉緑体を有する複二倍体(2n=2x=32)の体細胞雑種であることが明らかとなった.さらに, 他の3個体はネギの核ゲノムとタマネギ由来の葉緑体を有していた.これらの個体のネギの育種上での利用について考察した.