著者
丸居 篤 鹿野 翔 凌 祥之
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.155-160, 2013-10-10 (Released:2015-06-04)
参考文献数
15
被引用文献数
1

福岡県旧前原市においてイノシシ被害に関するアンケート調査(対象面積11,202ha、31 農区、農家1,069 戸)を実施し、耕作放棄地とイノシシ被害との関係を解析した。アンケート内容は、記入者の営農情報、被害に関する情報、対策の有無であり、有効なアンケートの回収率は79.6%であった。主な被害作物は稲が全体の53%を占め、続いて野菜16%、ミカン13%、イモ5%、その他が13%であった。被害農地と土地利用との相関解析を行った結果、耕作放棄地の存在とイノシシ被害との間に有意な正の相関がみられた。GIS(地理情報システム)を用いた解析より、被害農地の92.3%が山林から100m以内に存在し、山林からの距離が被害要因の1つとなっていることが明らかとなった。また、被害農地の54.9%が耕作放棄地から100m以内に存在し、耕作放棄地との近接性も影響する可能性が考えられた。さらに、500mおよび1,000mメッシュを用いた相関分析から、イノシシ被害回数と放棄地面積の間に有意な正の相関があることが明らかとなった。