著者
出口 朋美
出版者
近畿大学全学共通教育機構教養・外国語教育センター
雑誌
近畿大学教養・外国語教育センター紀要. 外国語編 (ISSN:21856982)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.55-71, 2014

[抄録] 本研究は国際ボランティア・プロジェクトでのピロシキ作りをトピックとしたミーティングを対象に, 道具という観点からディスコース分析を行うことで, 第二言語コミュニケーションの様相を描くことを目的とした. 分析の結果, ピロシキを表現するジェスチャーが相互理解を促進する道具として機能していたのに対し, 参加者が求める「正確さを求めて修正される」文法や「文脈にそぐわない」語彙, または電子辞書と言った道具がコミュニケーションを阻害していたことが分かった. その理由として, 道具としての即効性・対等性・柔軟性が考察された. 同時に, 参加者達はピロシキ作りという共通の目標に向かって, 状況に合わせて可能な限りの道具を使いながら相互理解を目指していたことも分かった.著者専攻: 英語教育学・異文化間教育
著者
出口 朋美 八島 智子
出版者
多文化関係学会
雑誌
多文化関係学 (ISSN:13495178)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.33-47, 2008 (Released:2017-03-28)

本研究の目的は、大学学生寮の中で留学生と日本人学生が構築する対人関係を、留学生の語りを通して明らかにすることである。データ収集方法として、有志留学生8名それぞれに滞在期間3ヶ月目と8ヶ月目の時点で半構造化面接を行なった。面接では、寮での日本人学生との対人関係を中心に質問をした。逐語録の分析には、木下(2007)を参考に、グラウンディッド・セオリー・アプローチで用いられる方法を利用した。その結果、滞在期間3ヶ月目では、留学生は日本人学生との対人関係構築への期待を抱いていたのにも関わらず、8ヶ月目になると、留学生は日本人学生コミュニティへの不参加を表明していることが分かった。本稿では、その理由として、日本人学生の上下関係の文化的実践に注目し、寮における異文化間対人関係の様相を考察する。