著者
小出 圭 加藤 良隆 清光 六郎 三浦 義夫 岡本 太郎 則行 敏生 岩本 俊之
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.12, pp.2828-2832, 1990-12-01
被引用文献数
2

原発性小腸癌は, 比較的まれな疾患であるが, われわれは最近2手術症例を経験したので報告する. 症例1は59歳男性, イレウス症状で発症, CA19-9 の高値および, 小腸造影で Tretz 靱帯より 10cm 肛側で全周性の狭窄を認めた. 腫瘍は同部の空腸にあり, 空腸および回腸の腸間膜付着部側に動脈血行性転移と思われる小病巣を多発性に認めた. 原発巣を含む空腸部分切除を行いえた. 術後1年5ヶ月で死亡した. 症例2は53歳女性, 約6ヶ月間心窩部痛, 悪心, 嘔気が続き, イレウス症状が出現, 小腸造影で空腸末端付近で閉塞を認めた. 腫瘍は Tretz 靱帯より 30cm 肛側の空腸にあり, napkin ring constriction を認め, 腹膜播種もあった. 空腸部分切除を行った. 術後1年11ヶ月で死亡した.
著者
則行 敏生 奥道 恒夫 木村 厚雄 赤山 幸一 古賀 理恵 武島 幸男
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.25-30, 2004-02-20
被引用文献数
1

背景.悪性胸膜中皮腫は比較的稀な腫瘍であり,画像所見,胸水所見からの診断は困難なことが多い.好酸球性胸水を呈したgranulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF),granulocyte colony-stimulating factor(G-CSF)産生性悪性胸膜中皮腫の1例を報告する.症例.65歳,男性,2002年7月29日右胸背部痛のため当院入院となった.胸水,血液検査,胸部CT所見より好酸球性胸水(胸膜炎)と考えられ,ステロイド内服による診断的治療が施行されたが症状の進行を認めたため,9月17日胸腔鏡下胸膜生検を施行し,悪性胸膜中皮腫(二相型)と診断した.また,経過を通じて白血球,好酸球増多を認め,血清G-CSFは50pg/dl と高値であり,抗GM-CSF抗体,抗G-CSF抗体による免疫染色では腫瘍細胞のほとんどの細胞質と約5%の細胞質にそれぞれ陽性像を認めたことよりGM-CSFおよびG-CSF産生性腫瘍と診断した.腫瘍の進行,全身状態の悪化を認め,11月27日在院死となった.剖検で悪性胸膜中皮腫の壁側臓側胸膜,心外膜,横隔膜,腹膜,小腸,大腸への進展を認めた.結論.炎症反応陽性,治療抵抗性難活性胸水を認めた場合,悪性胸膜中皮腫も疑い早期に胸腔鏡下生検で確定診断を行うことが必要であると考えられた.