著者
前田 ケイ
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.23-28, 2004-03-31 (Released:2019-04-06)

本稿ではSST(social skills training)の実施を集団で行う場合、集団のもつ潜在的な治療教育的力動を生かしつつ、参加メンバーの行動学習を効果的に助けるために、どのような工夫ができるかを具体的に論じた。SSTは幅広い利用者に対して有効な方法であるが、ここではおもに精神障害者のSSTについて述べた。精神障害者のSSTは医師、看護師、臨床心理士、作業療法士、精神保健福祉士など、多職種が行っているので、ここではそのような人々を総称して「スタッフ」とよんだ。SSTにはいろいろな進め方があるが、本稿で紹介するのは基本訓練モデルとよばれる方法である。基本訓練モデルによる指導過程のうち、特に「学習に適切な環境をつくる段階」と「学習を効果的に進める段階」の2つに焦点を絞って、いくつかの集団技法について論じた。