著者
高杉 美佳子 加藤 雅子 前田 典子 島田 和子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.121-127, 2010-03-15 (Released:2010-05-01)
参考文献数
32

14種の乾燥ハーブ熱水抽出物のヒスタミンおよびロイコトリエン(LT) B4放出抑制作用,DPPHラジカル消去活性,デオキシグアノシン酸化阻害活性を検討し,ポリフェノール量およびフラボノール類量を定量した.ペパーミント,ローレル,バジル(F),ローズマリーは,ラット腹腔細胞からのヒスタミンの放出を50%以上抑制し,ポリフェノール量の多い乾燥ハーブ熱水抽出物ほどヒスタミン放出量が低下する傾向が認められた.また,タイム,スペアミント,マジョラム,セージ,オレガノ,ペパーミント,タイム(F),ローズマリー(F),ローズマリーは,LTB4の放出を約50%以上抑制した.ヒスタミンおよびLTB4放出を抑制した乾燥ハーブ熱水抽出物には,ポリフェノールが多く含まれ,DPPHラジカル消去活性およびデオキシグアノシン酸化阻害活性が高い傾向が認められた.この結果は,ハーブ熱水抽出物によるヒスタミンおよびLTB4放出抑制作用では抗酸化作用を有するポリフェノール類が関与している可能性を示唆しており,その作用機序の一つとして,ラジカルの消去が考えられる.