著者
新井 博文 高杉 美佳子 山田 耕路
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

活性酸素によって生理的に生成すると考えられる過酸化脂質がアレルギー反応に及ぼす影響について培養細胞を用いて試験管内で調べた。アレルギー反応に関与する白血球の一種であるマスト細胞を培養し、人工的に刺激したときに培養上清中に放出されるヒスタミンなどの化学伝達物質を定量したところ、過酸化脂質分解物である4-ヒドロキシ-2-ノネナールはマスト細胞からのヒスタミン放出を促進した。生体内脂質過酸化がアレルギーを悪化させる可能性が示唆された。
著者
高杉 美佳子 山田 耕路
出版者
九州産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

加水分解性タンニン類のIgE産生抑制活性を調べた。その結果、テリマグランジンI、テリマグランジンII、カスアリクチンおよびペンタガロイルグルコースは濃度依存的にIgE産生を抑制した。これに対し、ストリクチニンのIgE産生抑制活性は非常に低かった。これらの結果は、加水分解性タンニン類のIgE産生抑制活性にはガロイル基が4つ相当必要であること、加水分解性タンニン類がIgE産生を抑制することでアレルギー症状を緩和する可能性を示唆している。
著者
高杉 美佳子 加藤 雅子 前田 典子 島田 和子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.121-127, 2010-03-15 (Released:2010-05-01)
参考文献数
32

14種の乾燥ハーブ熱水抽出物のヒスタミンおよびロイコトリエン(LT) B4放出抑制作用,DPPHラジカル消去活性,デオキシグアノシン酸化阻害活性を検討し,ポリフェノール量およびフラボノール類量を定量した.ペパーミント,ローレル,バジル(F),ローズマリーは,ラット腹腔細胞からのヒスタミンの放出を50%以上抑制し,ポリフェノール量の多い乾燥ハーブ熱水抽出物ほどヒスタミン放出量が低下する傾向が認められた.また,タイム,スペアミント,マジョラム,セージ,オレガノ,ペパーミント,タイム(F),ローズマリー(F),ローズマリーは,LTB4の放出を約50%以上抑制した.ヒスタミンおよびLTB4放出を抑制した乾燥ハーブ熱水抽出物には,ポリフェノールが多く含まれ,DPPHラジカル消去活性およびデオキシグアノシン酸化阻害活性が高い傾向が認められた.この結果は,ハーブ熱水抽出物によるヒスタミンおよびLTB4放出抑制作用では抗酸化作用を有するポリフェノール類が関与している可能性を示唆しており,その作用機序の一つとして,ラジカルの消去が考えられる.