- 著者
-
前田 和樹
大友 志伸
林 智弘
志村 敏史
上地 幸平
江後 京子
- 出版者
- 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
- 雑誌
- 医学検査 (ISSN:09158669)
- 巻号頁・発行日
- vol.67, no.5, pp.727-733, 2018
<p>近年,基質特異性拡張型βラクタマーゼ(Extended-spectrum β-lactamases; ESBLs)産生菌の検出頻度は増加傾向であり,それに伴って迅速検出法が多く考案されている。Nordmannによって報告されたESBL NDP(Nordmann/Dortet/Poirel)testは,迅速かつ正確にESBLs産生菌の検出が可能である。しかし,蛋白抽出試薬として20 mmol/L-トリス-塩酸緩衝液(BPERII Bacterial Protein Extraction Reagent, Thermo Scientific)を用いるため酵素抽出の過程に30分間の時間を要する。そこで,我々はガラスビーズを用いて菌体から酵素を粉砕抽出することでESBLs産生菌を簡便で,迅速かつ安価に検出できるガラスビーズ試験(Glass beads test; GB test)について考案した。今回,GB testの基本性能をNDP testと比較することでESBLs産生菌のスクリーニング検査としての有用性について評価を行った。対象にはESBLsの表現型試験陽性となり,遺伝子型が決定した111株と第3世代セファロスポリン系薬に感受性を示しESBL非産生菌と判定した109株を用いた。GB testとNDP testの判定一致率は100%であった。両検査法の感度,特異度は94.6%,100%であった。さらに,GB testでは酵素抽出時間を30秒に短縮できたことでNDP testと比較して陽性までの検査所要時間が有意に短縮した(<i>p</i> < 0.01)。GB testはESBLs産生菌のスクリーニング法としてNDP testよりも安価でさらに迅速性,簡便性に優れていた。</p>