著者
森本 健幹 前田 晃祐 神原 永長 大里 恭章 岩井 敦志
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.468-472, 2014-06-30 (Released:2015-01-23)
参考文献数
5

高齢者は加齢と共に腎機能低下が起こるため,腎排泄型薬剤の投与に関しては投与量の調節が必要である。また容易に脱水傾向になり急性腎不全に陥りやすい。われわれは,メチルジゴキシン(以下,MDXと略す)を服用していた高齢者が,添付文書上の腎機能に応じた量よりも減量されたアシクロビル(以下,ACVと略す)を服用したにもかかわらず,腎機能障害を来した症例を経験したので報告する。症例は80代男性。近医にて帯状疱疹と診断されACVが開始となった。服用後7日目に意識障害が現れ,8日目に摂食不可となり当院に救急搬送となった。来院時現症および検査所見より薬剤性腎障害が疑われたため,第1病日にACV,MDXが中止となり,輸液にて経過観察となった。第2病日から徐々に意識が改善し,第7病日に軽快退院となった。薬剤ごとに吸収,代謝,排泄の動態が異なるため,それらを踏まえた服薬指導が重要であると考えられた。