著者
丹羽 靱負 前田 正人
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.61-71, 1983-02-28 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
1

BCG, picibanil, levamisoleなどの免疫賦活剤は, 腫瘍や自己免疫疾患の治療に広く使用されている.これらの薬剤の薬理作用は, リンパ球の面からしばしば研究結果が報告されている.丸山ワクチンも, その薬理作用は不明であるが, 制癌剤として臨床家に使用されている.近年食細胞の産生する活性酸素(OI)が, 強力な抗菌作用を有し, 自己防衛上重要な役割を演じていることが明らかにされてきた.更に, 制癌剤Bleomycinなどの制癌作用も, OI中最も強力な作用を有するといわれているOH・の産生を増強させ, OH・が癌細胞内の核を破壊させることにより癌治療に有効であると報告されている.一方, OIの過度な増加は, SLEやリュウマチ(関節液)などにおけるリンパ球障害や異常なリンパ球の反応性の何らかの原因となっていることも証明されている.以上の事実より, われわれは, これら4剤のヒト好中球の貪食能, ライソゾーム酵素(β-glucuronidase, Lysozyme)分泌能および, OI(O^-_2, H_2O_2, OH・) およびchemiluminescence産生能に与える影響を中心に検索した.結果, BCGの使用全濃度と低濃度丸山ワクチンは著明にOIを増強させ, 一方, levamisole全濃度と高濃度丸山ワクチンは高度にOIを減産させた.
著者
浅雄 保宏 高田 啓介 武部 佐和子 前田 正人 真嶋 良昭
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.632-635, 1991-09-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

われわれは気管内挿管下の全身麻酔による甲状腺良性腫瘍手術後に手術側の反対側に声帯麻痺をきたした症例を経験した.カフつきチューブの使用,頸部後屈などにより,気管に偏位やねじれが生じ,反回神経との位置関係が変化して左側の反回神経に牽引,圧迫が加わりやすくなって,反回神経の栄養血管の血流障害による神経麻痺をきたしたと考えられた.1ヵ月後には声帯麻痺は完全回復した.