著者
西堀 正洋 劉 克約 和氣 秀徳 大熊 佑
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

High mobility group box-1(HMGB1)は、組織障害に由来する炎症惹起物質として、今大きな注目を集めている。研究者は、これまで取り組んできた脳虚血や脳血管攣縮に対する抗 HMGB1抗体の治療効果に大きなヒントを得て、現在治療法のない交通事故や転落事故後の脳外傷に対する抗体治療の応用について検討した。 その結果、ラットの脳外傷後に局所の神経細胞の核から細胞外へと HMGB1 が放出されること、HMGB1 の活性を抗 HMGB1 抗体の投与で中和すると、血管-脳関門の破綻が抑制され、脳浮腫を著明に抑制できることを実験的に証明した。抗 HMGB1 抗体による脳外傷治療は有望である。