著者
加茂 英臣
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

古代ギリシア哲学の中心概念のひとつ、行為を導く知〈フロネーシス:思慮・賢慮〉がどういうものであるかを、プラトンとアリストテレスとの対比を通じて浮き彫りにすることができた。その一番重要な局面を挙げれば、まずはそれが〈正義〉の実現を目指す知であるということにある。そしてその目指す〈正義〉とはそれ自体として意味のある価値であり、他のなにかほかのものに役立つから意味があるものなのではない。〈フロネーシス〉は自体的価値を目指し、功利主義的行動原理(プルーデンス)とは背反するものである