著者
昌子 浩孝 加藤 克紀
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.45-55, 2003 (Released:2008-01-16)
参考文献数
23

The effects of male parents on later parental behavior of their pups were investigated in ICR mice. Male parents were vasectomized to prevent female parents from giving birth to the second litter before weaning of the first one. The subjects were reared by a female parent alone or by both parents until 30 days old. When they were exposed to stimulus pups at 10-11 weeks of age (Exp. 1), their parental behaviors didn't differ from each other for their rearing conditions. However, when they were tested after experiencing copulation (Exp. 2), nest-building significantly decreased in the females reared by both parents. These results suggest that in mice the effects of cohabitation with a male parent in the early rearing environment on parental behavior were modifiable by the experience of copulation, but such effects were largely limited.
著者
昌子 浩孝 加藤 克紀
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.45-55, 2003

処女雌と童貞雄および交尾を統験した雌雄において,養育行動に対する幼若時の雄親との同居の影響についてICR系マウスを用いて検討した。雄親として用いる雄は,分娩後発情による第2仔の妊娠を防ぐため,断種した上で妊娠雌と同居させた。分娩後、仔は両親あるいは雌親のみと30日齢まで同居させ,10〜11週齢時に新生仔提示テストを行い養育行動を調べた(実験1)。処女雌および童貞雄の養育行動には雄親による影響が認められなかったが,交尾を経験した個体に新生仔を提示した場合(実験2)には,雌の巣作りが雄親との同居によって抑制された。マウスにおいては,養育行動に対する幼若時の雄親との同居の影響は交尾経験によって変容されうるが,それらの影響は小さく限定的であることが示唆された。
著者
加藤 克紀
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.11-18, 2006-06-25

ICR雄マウスにおいて,離乳後5-6週間の社会的隔離がオープンフィールド行動に及ぼす影響を直接観察法を用いて検討した。10分間のオープンフィールドテストにおいて隔離飼育個体と集団飼育個体は類似した行動変化を示したが,2つの行動成分,すなわち伸展と毛づくろいについては異なっていた。隔離飼育個体の方が最初の4分間の伸展の減少が有意に遅く,また隔離飼育個体でのみ最後の4分間に毛づくろいの有意な増加が認められた。以上の結果は,若齢期における社会的経験の剥奪が新奇環境における不安やストレス反応を強め,慣れを抑制する可能性を示唆した。
著者
高橋 阿貴 加藤 克紀 牧野 順四郎
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.73-85, 2004-12-25
被引用文献数
3

本研究では,高・低活動系マウスとその基礎集団であるICR,そして5系統の近交系マウス(BALB,C3H,CBA,DBA,C57BL,ICR)のオープンフィールド行動について検討した。高・低活動系は,他の近交系と比較しても,十分に高活動あるいは低活動であったが,脱糞数には差がなかった。11種の行動項目に基づく行動観察データに主成分分析を適用した結果,4つの主成分が得られ,それらにより全体分散の64%が説明された。第1,第2主成分に基づいて系統比較を行ったところ,オープンフィールド行動の時間的変化には,遺伝的背景の異なる4つの側面(初期値,テスト前半と後半の行動変化,終了値)がある可能性が示唆された。高・低活動系は第1主成分については対照的であったが,第2主成分についてはよく似ており,活動量や脱糞数が大きく異なるBALBとC57BLにおいても同様の傾向が認められたことから,第2主成分はいわゆる「活動性」や「情動反応性」とは独立した特性を示しているようであった。また,高活動系のオープンフィールド行動は基礎集団であるICRとほとんど違いがなく,選択交配による遺伝的変異は主に低活動系において生じたことが明らかとなった。